研究課題
若手研究
本研究では、卵巣癌の予後不良形質であるMesenchymal Transitionタイプ(以下MTタイプ)に象徴される腫瘍微小環境の悪性器質の主要制御因子がB7H3であると着想し、B7H3のリガンドのみならず受容体としての機序を解明することで、腫瘍の形成する免疫抑制因子を解除し免疫の抗腫瘍効果を増強させ、腫瘍の浸潤能を抑制し、血管新生を阻害する治療を開発することである。本研究では、MTタイプを効果予測バイオマーカーとして、B7H3をターゲットとした個別化治療やさらに分子標的治療薬と免疫チェクポイント阻害剤の併用療法の開発により、予後不良であるMTタイプの克服を目指すことを目的とする。
卵巣癌はPD-1/PD-L1阻害治療が期待されたほど有効ではない。本研究では同じPD-L1ファミリーであるB7H3(CD276)がPD-L1の低い非免疫反応性卵巣癌で高発現し、腫瘍免疫反応性を反映するIFNγシグネチャーと負の相関関係があることからB7H3に着目した。同系卵巣癌マウスモデルで腫瘍細胞のB7-H3ノックアウト(KO)が腫瘍の進行を抑制し、M2マクロファージの数が減少しIFNγ+ CD8+T細胞の数が増加した。CCL2の発現は、B7-H3KO腫瘍細胞株で抑制された。 B7H3の発現はCCL2-CCR2経路を介しM2マクロファージの移動と分化を誘導することを明らかにした。
卵巣癌ではB7H3が高発現する腫瘍があり、B7H3の発現はCCL2の発現およびM2マクロファージの量的な正の相関があり、B7H3の高い卵巣癌は、B7-H3の低い卵巣癌よりも腫瘍IFNγ+ CD8 + T細胞が少なく、予後が不良であった。したがって、腫瘍細胞におけるB7H3の発現は、CCL2-CCR2-M2マクロファージ軸を介した免疫抑制と腫瘍の進行に寄与すると考えます。これらの発見は、卵巣癌の腫瘍微小環境への新しい洞察を提供し、好ましくない卵巣癌の免疫抑制型の表現型に対する新しい治療アプローチの開発につながる可能性があります。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
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