研究課題/領域番号 |
20K18222
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
梶邑 匠彌 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (20780779)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 三酸化二砒素 / Carbonyl reducatase 1 / 子宮頸癌 / carbonyl reductase 1 |
研究開始時の研究の概要 |
子宮頸癌細胞株でCBR1 の発現を抑制させるとE-cadherin の発現が減少し、上皮間葉転換(EMT) が誘導され、癌の浸潤、増殖能が亢進すること、逆にCBR1 を過剰発現させた子宮頸癌細胞ではE-cadherin の発現が増加し、EMT と逆の間葉上皮転換(MET) が誘導され、浸潤、増殖能が抑制されることを見出した。本研究では、子宮頸癌において、急性前駆骨髄性白血病の治療薬として用いられる三酸化二砒素 (亜ヒ酸)の投与により、CBR1 の発現を増加させることができるか、そして、それによりMET が誘導され、癌細胞の腫瘍増殖能、浸潤能、腫瘍形成能を抑制させることができるかを検討する。
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研究成果の概要 |
子宮頸癌において三酸化二砒素(ATO)を投与することで、子宮頸癌の増殖、浸潤を抑制する物質であるCarbonyl reductase 1 (CBR1)発現を誘導し、新たな治療法となりうるかを検証した。in vitroにおいて子宮頸癌細胞株にATOを添加したところ、CBR1発現の増加を認めた。また同様にATOの添加によって、子宮頸癌細胞の増殖能が抑制され、さらに遊走、浸潤能が抑制された。さらにNude miceに子宮頸癌細胞を皮下移植したモデルにATOを頸静脈投与すると腫瘍形成能が抑制された。さらに形成腫瘍内のCBR1が増加した。 ATOは子宮頸癌の新規治療法として有効である可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
子宮頸癌治療として手術による病巣除去と白金系の抗癌剤投与が標準療法として確立され、またヒトパピローマウィルスに対する予防ワクチンの開発により子宮頸癌の発症率低下が期待されたが、未だに同疾患は若年女性の死因の上位を占めており再発症例の治療は困難であり、そうした症例に対する新たな治療法の開発が急務である。三酸化二砒素(ATO)は、白血病の治療薬としてすでに臨床現場では広く使われておりその安全性などの情報も知られている。すでに臨床上の使用条件の明らかな薬剤であるATOが使用できれば即座に臨床応用が可能であり、既存の抗癌剤に抵抗性の症例に対する新たな治療方法として非常に有望な手段となる可能性がある。
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