研究課題/領域番号 |
20K18278
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
山本 小百合 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (10828114)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 好酸球性副鼻腔炎 / 制御性T細胞 / ST2 / 好酸球性鼻副鼻腔炎 / 鼻茸 / IL-33 / Treg / 抑制性サイトカイン / 慢性副鼻腔炎 / TH2サイトカイン / Th2-like Treg / Th2サイトカイン |
研究開始時の研究の概要 |
好酸球性鼻副鼻腔炎は、ステロイド以外に有効な薬物療法がなく、手術しても再発しやすい難治性疾患である。現在、上皮細胞由来サイトカインや2型自然リンパ球をはじめとした自然免疫が病態形成に関わっていることが分かっている。一方、生体内には免疫抑制機構の存在が想定されているが、好酸球性鼻副鼻腔炎の病態での役割は未解明である。 本研究では、好酸球性副鼻腔炎での免疫抑制機構について、特に制御性T細胞や、抗炎症作用を有する IL-27、抑制系サイトカインであるIL-10、IL-35、TGF-βの機能を明らかにする。免疫抑制機構をターゲットとした新たな治療手段の開発につなげることを目的とする。
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研究実績の概要 |
制御性T細胞(Treg)は、その免疫制御活性により、免疫系の恒常性維持や免疫寛容に重要な役割を担っている。近年、ST2(IL-33受容体)とFoxp3の発現により、ST2+ Tregsの存在が知られている。IL-33の存在下では、ST2+ Tregsは免疫抑制活性を失い、Type2炎症を誘発する。好酸球性副鼻腔炎の病態生理における制御性T細胞の免疫抑制機能を明らかにすることを目的に検討を行った。 ST2+Tregでは、ST2-Tregと比較して、IL-5およびIL-13の発現が高く、ST2+Tregが2型サイトカインであるIL-5およびIL-13を産生することが示された。ST2+Tregの多くは、メモリーT細胞のマーカーであるCD45ROを発現しており、ST2+Tregがメモリー機能を有していることが示唆された。Th2細胞、ST2+TregおよびTr1の役割を調べるために、好酸球性副鼻腔炎および非好酸球性副鼻腔炎患者の鼻茸におけるTh2 、Foxp3+ Treg 、ST2+Treg およびTr1 の割合を比較検討した。CD4+ T細胞におけるTh2細胞の割合は、非好酸球性副鼻腔炎患者のものと比較して好酸球性副鼻腔炎患者で有意に増加していた。CD4+ T細胞中のFoxp3+ Tregの割合は差がなかったが、ST2+Tregの割合は、非好酸球性副鼻腔炎患者の鼻茸およびコントロール被験者の鈎状突起のものと比較して、好酸球性副鼻腔炎患者の鼻茸で有意に増加した。好酸球性副鼻腔炎患者の鼻茸では、Foxp3+ Treg細胞中のST2+Tregの比率が有意に上昇し、Foxp3+ Treg細胞の60%以上がST2+Tregで占められていた。 好酸球性副鼻腔炎における、ST2+Treg の増加とTr1の減少は、過剰な2型炎症の抑制機構が損なわれている可能性がある。
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