研究課題/領域番号 |
20K18299
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2021-2023) 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) (2020) |
研究代表者 |
甲能 武幸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90573410)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | HPV / 頭頸部癌 / DNA損傷修復 / APOBEC / 新規治療 / DNA損傷修復系 / 阻害実験 / 中咽頭癌 / 化学療法 / 予後予測因子 / shRNA |
研究開始時の研究の概要 |
近年急増しているHPV関連中咽頭癌において、新たな治療の標的となる因子の探索や治療効果の予後予測因子の検討は重要な課題で、その為にHPVの生活環や腫瘍化に至る機序の解明が必須だが、頭頸部領域では十分に検証されていない。一方、子宮頸部上皮ではDNA損傷修復系がHPVゲノムの維持・複製・増殖に必須で、内因性免疫因子であるAPOBEC3が癌化を引き起こす可能性が示唆されている。これら背景から、本研究ではHPV関連中咽頭癌におけるDNA損傷修復系因子とAPOBEC3の発現について、化学放射線治療不応例と奏功例を対比しながら検討し、予後予測因子となりうるか、また新たな治療薬の標的となるか検討する。
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研究成果の概要 |
HPV陽性中咽頭癌はATR・FA経路の因子と、その下流の相同修復因子の発現がHPV陰性中咽頭癌よりも有意に高く、DNA損傷も亢進していた。また、APOBEC3Bの発現も亢進し、両者は核内で共在していた。APOBEC因子の阻害でDNA損傷修復因子が減少し、DNA損傷修復因子の阻害でAPOBECの発現が低下した。逆に、DNA損傷の誘導でAPOBEC因子の発現が上昇した。即ち、HPV陽性頭頸部癌ではAPOBEC因子とDNA損傷修復因子が双方向に発現のトリガーとなる可能性が示唆された。HPV陽性中咽頭癌細胞では用量依存的にATR阻害剤投与による抗腫瘍効果の増強を認め、新規治療の可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究はHPV関連頭頸部癌におけるDNA損傷修復系因子とAPOBEC因子の発現について、そのトリガーとなりうる因子の解析を行い、新規治療標的の候補となりうる可能性を示した。 DNA損傷修復経路の阻害剤併用により、既存のシスプラチンの抗腫瘍効果の上乗せが期待され、将来的には殺細胞性の抗がん剤の容量を軽減することで副作用のリスクを減らし安全な治療を実現するなどの効果も期待できるという点で、学術的、社会的に重要な意義のある成果と考えられる。
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