研究課題/領域番号 |
20K18535
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
青柳 浩明 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (10814501)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 低栄養 / HMGB1 / 創傷治癒 / 幹細胞 / 歯周炎 / M1マクロファージ / マクロファージ / 全身疾患 / 血管内皮細胞由来のHMGB1 / 歯周病 / 血管 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周炎の炎症が歯周組織深部に波及すると歯肉の静脈性血管が増殖,拡張を起こす。 これら静脈性血管内の血管内皮細胞が産生するHigh Mobility Group Box 1(HMGB1)が炎症の増悪に深く関与するのではと仮説を立てた。そこで,本研究では血管内皮細胞で特異的にHMGB1欠損マウスを用い,血管内皮細胞由来のHMGB1が歯周炎の遷延化に関与するか検討する。また,同時に動脈硬化モデルマウスも作製し,血管内皮細胞由来のHMGB1が動脈硬化発症に関与するかも検討する。 その結果,歯周病により産生されたHMGB1が血液循環を介して局所に到達することにより,全身疾患の発症に関与するかが明らかとなる。
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研究成果の概要 |
HMGB1は、RAGEを介して創傷治癒を開始するために必須の反応である炎症反応を誘導する。我々は、栄養不良がこのカスケードを阻害し、異常な炎症を引き起こし、最終的に創傷治癒を遅延させるのではないかと考えた。抜歯後3日目と7日目に、創傷組織を組織学的に観察し、炎症-再生系統のいくつかの因子を分析しました。7日目には、栄養不良の条件下で、再生や間葉系幹細胞(MSC)集積の遺伝子のmRNA発現が減少し、ミエロペルオキシダーゼとIL-1βのmRNA発現が明らかに増加、HMGB1レベルの増加、M2マクロファージの割合が上昇した組織でのATP濃度の上昇といった所見を伴う創傷治癒遅延が確認されました。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年ではHMGB1が組織修復にも関与することが報告されてきた。本研究では,栄養失調状態下でのATP産生およびRAGE経路を介したIL-1β分泌の上昇に伴うHMGB1分泌量の著しい増加が、炎症や創傷治癒を阻害する可能性に関わることが明らかとなった。 栄養不良の個体における創傷治癒の遅延のメカニズムに関する研究は、栄養不良に関連する短期的な疾患を目標に促進または抑制するための新しい視点を提供する可能性がある。歯周組織由来の HMGB1 が全身疾患に関与していることが明らかとなれば,HMGB1 をターゲットとした新規の全身疾患の治療法が確立される可能性が考えられる。
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