研究課題/領域番号 |
20K18536
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岡信 愛 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (00806581)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 特発性歯肉線維腫症 / NR4A1 / TGF-β / SNPs |
研究開始時の研究の概要 |
特発性歯肉線維腫症は、原因不明の歯肉の線維性の増殖である。 申請者はこれまでに薬物性歯肉増殖症のメカニズム解明に着手し、NR4A1ノックアウトマウスに歯周炎を惹起させると、歯肉増殖が生じることを確認した。特発性歯肉線維腫症は薬物性歯肉増殖症と極めて類似した臨床所見、病理組織像を示すため、同様のメカニズムが発症に関与していることが予想される。したがって、特発性歯肉線維腫症の発症に、歯周組織の炎症とNR4A1の一塩基多型(SNPs)が関与していると仮説を立てた。 本研究は、特発性歯肉線維腫症の治療のみならず、今後発展が期待されるオーダーメイド医療を促進するためにも意義のある研究である。
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研究成果の概要 |
NR4A1ノックアウトマウスに歯周炎を惹起させると、WTマウスと比較し、結合組織内部に密なコラーゲン線維束を有する顕著な歯肉腫脹を認めた。 次に慢性歯周炎あるいは特発性歯肉線維腫症患者から採取したHGFを用いて、RNAシークエンスを行った。Kegg-pathway解析で、ECM-receptor interactionやTGF-beta signaling pathwayなどに発現変動遺伝子の集積を認めたが、NR4A1の発現に明らかな変動は認めなかった。一方で、組織線維化に関わると報告のあるインテグリンα8、インテグリンα11、トランスグルタミナーゼ2(TGM2)に発現の変動傾向を認めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果から、マウスの歯肉線維化にNR4A1の関与が示唆された一方で、ヒトの特発性歯肉線維腫症では明らかな発現の変動を認めなかった。過去に薬物性歯肉増殖症についてNR4A1の関与が示唆されているが、特発性歯肉線維腫症については、他のメカニズムが関与している可能性がある。今後はNR4A1だけでなく、本研究で発現の変動を認めたインテグリンα8、インテグリンα11、TGM2などにも焦点をあて、その関係性について検討を行うことが、特発性歯肉線維腫症のみならず、種々の線維化疾患のメカニズムの一端を解明することにつながると考える。
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