研究課題/領域番号 |
20K18619
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
浦田 健太郎 日本大学, 歯学部, 専任講師 (60754398)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 老化 / 口腔粘膜 / 疼痛 / 機械アロディニア / SAMP8 / マクロファージ / CCL2 / 三叉神経節 / M1 / M2 / 加齢 / 機械痛覚過敏 / TGFーβ / 口腔粘膜損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢は,神経系に様々な変化を引き起こし疼痛受容に影響を及ぼす事が知られている。しかし,口腔粘膜の潰瘍の有無と疼痛の有無とが相関しない高齢の義歯装着患者に遭遇する事があるように口腔粘膜の疼痛受容に対する加齢の影響は不明である。そこで本研究では老化促進モデルマウスを用い,口腔粘膜の炎症誘発後における,顎顔面領域の侵害刺激情報が入力される三叉神経節細胞での炎症型(M1)あるいは抗炎症型(M2)マクロファージへの極性変化及びマクロファージから放出されるサイトカインが担う疼痛調節機構に着目した,口腔内疼痛受容機構の加齢性変調の解明を目的とした。
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研究成果の概要 |
口腔粘膜疼痛に対する老化の影響を炎症型M1/抗炎症型M2に変化する三叉神経節(TG)マクロファージに着目し検討した.口蓋粘膜を切開した老齢マウス(SAMP8)と若齢マウス(SAMR1)を使用した.SAMP8はSAMR1と比べ切開後の機械アロディニアが増強し,TGでのM1/CCL2共発現が増加した.CCL2中和抗体のTG内投与は,SAMP8の機械アロディニアを抑制した.非切開SAMP8へのCCL2のTG内投与は,TG中のCCR2/Nav1.8共発現を増加し,機械アロディニアを発症した.老化によりマクロファージの性質変化はM1へ亢進し,M1由来CCL2が機械アロディニアを増強することが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
総義歯装着中の高齢患者への診療時に,顎堤粘膜の潰瘍の有無と疼痛の有無とが相関しない場面に遭遇することがある.老化が疼痛へ及ぼす影響は,皮膚では多く報告を認めるが,口腔粘膜を調べた報告は少なく不明な現状にある.本研究の結果,口腔粘膜損傷後の機械刺激による疼痛は老化により増強し,この疼痛増強は,損傷部を支配する三叉神経節中のマクロファージの性質が老化により炎症性へ亢進する事が関与する事を明らかにした.老化による口腔粘膜疼痛受容機構の変調原因の一端を解明したことは学術的意義を持ち,高齢者に対する歯科臨床に有用な新規治療法の開発や診断法の開発に対し重要な基礎データを与える社会的意義を持つものと考える.
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