研究課題/領域番号 |
20K18646
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
田林 万奈 昭和大学, 歯学部, 普通研究生 (60850310)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 睡眠時ブラキシズム / オクルーザルスプリント / tooth wear / wear mesurement / 三次元形態計測 / Tooth Wear / デジタル歯科学 / 口腔内スキャナー / CAD/CAM / スプリント / ブラキシズム |
研究開始時の研究の概要 |
非細菌性の歯の実質欠損であるTooth wear(歯の咬耗)は人口の97%に発生し,咬合高径低下や欠損歯を伴う重篤なケースでは我々歯科医師に高難度の補綴治療技術が要求される.さらに患者は治療後もリスクに晒され,患者QOL低下の大きな要因となり得る.しかしながら,Tooth Wearの病態や診断基準について系統立った指針は未だ提唱されておらず,適切な管理および病変の発生・進行の診断モデルは確立されていない.本研究は,患者のデジタル歯列データおよび臨床情報を用いて,Tooth Wearを客観的定量データとして分析し,Tooth Wearの発生および進行の診断モデルを構築することを目的とする.
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研究実績の概要 |
睡眠時ブラキシズム(Sleep Bruxism: SB)は睡眠中の歯のグラインディングやクレンチングを特徴とする睡眠関連運動異常症と定義されている.SBによって生じる過大な咬合力は,歯や歯周組織など顎口腔系の諸器官に様々な障害や補綴装置の破損を引き起こす可能性があるためSBの正確な診断は臨床的に重要である.Audio/video睡眠ポリグラフ検査(PSG),咬筋EMGを付与した簡易睡眠検査装置(Portable PSG),シングルチャネルのEMGなどを用いれば客観的な測定データをもとに診断が可能である.しかし,一般的には問診や口腔内所見をもとにした診断が行われており,こうした診断の信頼性は必ずしも高くはない. ここで,SBの管理に標準的に用いられているオクルーザルスプリント(Occlusal Splint: OS)の咬合面に生じた摩耗を定量化し,SBレベルとの関連性を明らかにできれば,OSの形態変化を指標としてSB評価が可能である.そこで,本研究では,OSの咬合面に生じた摩耗を歯科用ラボスキャナーで定量化し,咬筋EMGを付与したPortable PSGより得られたSB筋活動との関連を検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在,精度に関する検証は全て終了し,インパクトファクターを有する英文学術雑誌に掲載されている.しかしながら,追加の検証および,それらのデータに関する論文執筆が必要と判断し,やや遅れていると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
Portable PSGで得られた検査値はOSを装着して睡眠中に得た検査値ではなく,スクリーニング時のものであることに留意すべきである.SB患者の咀嚼筋活動は毎晩変化する可能性があり,スクリーニング時の検査値と異なっている可能性が考えられる.文献的に,短期的なOSの装着により,咀嚼筋の活動が減少することが示されているものの,OSの装着直後のSB抑制効果は,2週間程度の継続使用により消失することが示されている.そこで,本研究では,2週間の順応期間を設けその後45日間使用したOSの咬合面の摩耗を評価することで,短期的なOSの装着におけるSBの抑制効果を除外できると考えた.最大摩耗深度の経時的な変化を観察すると,順応終了後15夜目ですでに最大摩耗深度の顕著な深化が認められ,この期間におけるOSによるSBの抑制効果は消失しているか,もしくは弱くなっていると推定された.今後は,毎測定夜にPortable PSGを装着し,そこから得た咬筋筋活動のデータをもとにOSの咬合面の経時的変化との関連性を検討する必要がある.
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