研究課題
若手研究
口腔機能および多様な食事摂取による栄養状態の維持・向上は健康寿命の延伸につながることが報告されている。「オーラルフレイル」の概念が提唱されるなか、より早い段階から口腔機能の低下を把握・評価し、「食べる」機能へ口腔・栄養の両面からアプローチすることが重要である。しかし、口腔機能の低下が栄養摂取に与える影響は徐々に明らかになってきたが、口腔機能・栄養管理の複合的な指導・管理効果がどのように口腔機能・栄養状態に影響を与えるかのエビデンスは十分でない。本研究の目的は、口腔機能と栄養状態の相互関係を明らかにし、多職種が簡便に使用できる口腔・栄養が複合した患者教育・管理プログラムを開発することである。
1.2022年度までの研究実績1)口腔機能および栄養の低下がフレイルに及ぼす影響:フレイルの発生には口腔機能、栄養が影響していることが明らかとなり、口腔機能と栄養双方の低下は2年後のフレイルの発生リスクを3.1倍増加させることが明らかになった。2)地域歯科医院における補綴歯科治療が必要な患者の口腔機能・栄養状態に関する検討:地域歯科医院来院患者において、特に義歯による補綴歯科治療を必要とするような歯の欠損を有する患者については、口腔機能低下症の該当率が86.1%と、地域在住高齢者と比較しても著しく高いことが判明した。3)地域在住高齢者における口腔機能低下の該当内容における対象者属性の検討:口腔機能低下症のうち、年齢階級の上昇に従い低下がみられる咬合力低下、舌口唇運動機能低下、低舌圧および咀嚼機能低下の4項目のうち3項目以上の低下がみられる項目について「口腔機能低下症4項目モデル」(以下、4項目モデル)として、分類および類型化を行った。その結果、4項目モデルの該当者は、このうち335人(19.8%)であった。2.最終年度の研究成果2023年度は、追加解析として、新たに開発された静電容量型感圧センサーシート(Oramo)を用いた咬合力測定の信頼性および成人の基準値の検討を行った。その結果、Oramo測定時の各検査者の測定結果(平均±標準偏差(CV))は698.5±29.6N (0.04)、692.6±28.0N (0.04)および688.9±30.8N (0.04)であった。二元配置分散分析において、検者内・検者間の交互作用は認めなかった(p=0.545)。以上のことから、Oramoを用いた咬合力測定は繰り返し測定しても測定時の変動は限定され、検者内および検者間の測定値が安定する傾向を示した。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 1件)
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