研究課題/領域番号 |
20K18838
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 神奈川歯科大学短期大学部 |
研究代表者 |
山本 裕子 神奈川歯科大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60756568)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 唾液 / IgA / 難消化性糖類 / 短鎖脂肪酸 / 盲腸内容物 / 米 / フラクトオリゴ糖 / pIgR / GPR41 / GPR43 / 顎下腺 / 肺炎 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者の肺炎を引き起こす上気道感染症の予防に重要な役割を果たす、唾液中の抗菌物質であるIgA(抗体)の制御機構を解明する。申請者らの唾液中IgAに対する研究成果を基に、食物繊維摂取により大腸で腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸(SCFAs)の、全身への生理活性作用に着目し、SCFAsがその受容体と自律神経を介して、遠隔臓器である唾液腺と唾液中IgAレベルに影響を与えるメカニズムを解明する。将来的には、易感染性である高齢者の唾液中IgAレベルを上昇させることで上気道感染症を予防する食事指導法を構築し、歯科から新しい感染症予防対策を国民に広く提案することで、国の医療費削減に貢献することを目指す。
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研究成果の概要 |
米のβでんぷんは大腸内で短鎖脂肪酸(SCFAs)産生を高めて、唾液中IgAを増加させる可能性がある。本研究では、米のα・βでんぷんの含有比率を変化させた飼料(α100%,α75β25%,α50β50%,α25β75%,β100%)をラットに4週間摂取させることで、大腸のSCFAs濃度と唾液中IgAに与える影響を明らかにした。唾液中IgA分泌速度は、コントロール群およびα100%群と比較して、α75β25%群、α50β50%群、α25β75%群、β100%群で高値が認められた。βでんぷん25%以上の米を摂取した場合、唾液中IgA分泌速度と盲腸内容物中SCFAs濃度が高値となる可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在の日本では、高齢者の上気道感染症に起因する肺炎の増加が社会問題となっている。日本人の主食であり、高齢者が摂取する機会が多い「米飯」の状態を変えることで腸内のSCFAsを増加させ、その結果唾液中IgAレベルが増加すれば、高齢者の上気道感染症を予防する可能性がある。同じ量の米飯を摂取した場合でもβでんぷん25%以上の少し冷えた米飯を摂取した場合、唾液中IgA分泌速度と盲腸内容物中SCFA濃度が高値となる可能性が示された。米でんぷんの老化度を制御することによって、唾液IgAレベルを制御すること、ひいては上気道感染症を予防することが可能かもしれない。
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