研究課題/領域番号 |
20K18906
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
小野 寿子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50827326)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | BRCA / p21 / 遺伝性乳がん卵巣がん症候群 / がん予防 / chemoprevention / 一次予防 / 遺伝性乳がん・卵巣がん / HBOC |
研究開始時の研究の概要 |
近年のゲノム医療の発展により、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)と診断される方は増加している。生殖細胞系列BRCA1/2遺伝子に生まれながらの変異があれば、高率に乳癌や卵巣癌などに罹患することから、適切な医療介入が必要とされる。一方、発症を予防する薬物療法の開発は進んでいない。あらかじめ乳癌や卵巣癌などになりやすい体質であると判明して不安を抱えている方こそ、発症を予防する一次予防の対象であり、可能な限り副作用の少ない薬物治療による積極的な予防的介入を行うことが望ましい。 本研究では、HBOCの一次予防薬の開発を目的として、既存の薬物や低分子化合物の中で有効なものがあるかを探求したい。
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研究実績の概要 |
日本において乳がんの罹患率の上昇は深刻な問題である。現在、日本人女性の10人に1人が乳がんに罹患する、そのような日本のという現状を改善するには一次予防が急務である。まず一次予防すべき対象者は、生まれつきがんになりやすい体質、つまり家系による遺伝性要因を持っている方である。遺伝性乳がんのうち最も高頻度なのはがん抑制遺伝子BRCA1/2バリアントが原因となる遺伝性乳がん卵巣がん症候群である。我々はBRCA1がp21のプロモーター活性のレベルでの調節上昇に寄与関与しているという報告(Oncogene, 1999;18:263-268)から「p21の発現低下」に着目し、p21の発現を上昇させるもの物質の中にこそ、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の方の発がん予防につながる薬物や低分子化合物が潜んでいるのではないかと考えた。 昨年度に引き続き、p53変異のある乳癌細胞株を用いて本研究のスクリーニングを行った。今後の予防介入の発展を期待するとdrug repositioningが可能であることから選定したFDAで承認された薬剤キットと当研究室のライブラリー薬剤を使用した。962種の薬剤をスクリーニング対象とし、WST assayにてがん細胞の増殖抑制効果が50%以上ある薬剤を選定した。そのうち、添付文書上、人体や妊孕性に明らかな問題のある薬剤を除いて、23種の薬剤において複数の濃度検討からmRNAレベルでのp21の発現量を検討する濃度を決定した。引き続き、定量PCR法にてコントロールよりp21の発現を2倍以上上昇させる薬剤を選定した。現在はmRNAレベルでBRCA1/2の発現を低下させない、もしくは上昇させる2薬剤を本研究の候補薬としてあげ、がん細胞の増殖抑制メカニズムを検索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PCRによるスクリーニングをマニュアルでの方法に変更したため時間を要した。またコロナ禍にて研究を中断せざるを得ない時期があった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、スクリーニングにより候補薬として挙げられている薬剤が、他のBRCA陽性乳癌細胞株でも同様の変化があるかを検討する。薬剤がヒットした場合はイメージングサイトメーター(In Cell Analyzer)を用いて、正常乳腺上皮細胞株MCF10Aなどに対する微細な毒性を極めて高感度かつ定量的に検証し、最も安全な候補薬に絞る方針とする。
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