研究課題/領域番号 |
20K19058
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
瀧澤 理穂 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (00832932)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 乳がん / 親子 / 告知 / 体験 / 対話 |
研究開始時の研究の概要 |
子どもをもつがん患者は、自身の病名を子どもに伝えるか否かに苦悩を抱き、本来治療に向けるべきエネルギーを消耗し、心身の負担が増大することが報告されている。しかし、看護師は十分な患者支援が出来ていない現状にある。患者への寄り添いを看護師の重要な役割を考えるNewmanは、看護師が患者とパートナーとなり対話を行うことで、患者が自分らしい生き方を見出すことが出来ると述べている。そこで本研究は、子どもに自分の病名を伝えることに悩むがん患者と研究者が、Newman理論に基づいたパートナーとなり対話を行ったならば、患者が自分なりにどのような解決の方向性を見出していくか、その体験を明らかとする。
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研究実績の概要 |
本研究は、子どもに病名を伝えることに悩む乳がん患者の悩みに焦点を当てた対話を行い、その患者の体験を明らかにすることを目的とする。子どもに病名を伝えることに悩む患者の体験を理解することで、子どもに自己の病名を伝えることに悩む患者への介入方法の手がかりを得る資料となる。悩みを抱く複雑な人間の内的世界を解明するには、人間の行為が意味・解釈を通じて形成されると考え、対象者の見地に立って、対象者の内的世界を探ろうとする解釈パラダイムに依って立つ必要があると考えた。そこで、今回は解釈学的・現象学的アプローチに基づいた対話を用いて、対象者の世界を探ろうと試みた。 研究対象者は子ども(18歳未満)に病名を伝えることに悩む乳がん患者11名で、幼児期、学童期、思春期の子どもを1名~4名養育していた。病気や通院に関する説明は子どもの発達段階に応じて判断していたが、兄弟間で隠し事を作るのを避けたいなどの理由により、長子だけに病名を伝えているということはなく、全ての子どもに病名は伏せていた。そのため、子どもの発達段階に関連した患者の悩みの特徴に焦点を当てるのではなく、患者がなぜ子どもに伝えることに悩んでいるのか、どのような思いを抱きながら子どもに関わっているのかに焦点を当て参加者の全体像をつかむように分析を行った。 その結果、子どもに病名を伝えることに悩む乳がん患者は5つの局面を辿ることがわかった。また、子どもに病名を伝える意思を示した患者と今は子どもに伝えない意思を示した患者との2つのパターンにわかれていった。患者は母親としてどうすべきかという思いと、ひとりの人間としてどうしたいかという思いの間で葛藤し、悩み揺れていたことが明らかとなった。 本研究の結果は博士論文にまとめ、研究の一部を国際学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大の影響にて、研究協力者(医療者)の業務負担増大に伴う対象者の選定困難さや、研究協力施設(病院)への立ち入り制限があったため対象者の確保が難しい状況であった。しかし、オンラインでの面談を導入することにより、データ収集期間が予定より半年ほど延長したが、目標とする対象数を確保することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、学術雑誌への論文投稿と学会発表を目標とし、研究成果の公表に向けて準備を進めていく。
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