研究課題/領域番号 |
20K19398
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
植村 弥希子 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 助教 (10786601)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | マクロファージ / 電気刺激療法 / ペントースリン酸経路 / 解糖系代謝 / 炎症性サイトカイン / NADPH / 電気刺激 / 酸化ストレス / 褥瘡 / 物理療法 / 線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
褥瘡は難治性潰瘍であり、患者のQOLを低下させ、医療経済に与える影響も大きい。創の閉鎖を目的とした電気刺激療法は推奨されているが、その最適条件や治療メカニズムの解明は十分でない。創の治癒に肉芽組織の増殖が必要不可欠だが、そのためには線維芽細胞の活性化が重要である。線維芽細胞を活性化させる因子として、マクロファージと線維芽細胞自身が産生するサイトカインがある。そこで、マクロファージのサイトカイン産生と、マクロファージと線維芽細胞の相互作用に電気刺激が与える影響を検証し、線維芽細胞の活性化を促進させ、創の治癒をもたらす条件を明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和3年度はマクロファージにプレトリートメントとして電気刺激を行い、その後LPS刺激により惹起される炎症反応について検討し、電気刺激は抗炎症、抗酸化作用を発揮することを確認した。令和4年度はLPS刺激により炎症を惹起したマクロファージに対する電気刺激の効果ならびにその作用メカニズムについて検証した。 LPS刺激により炎症性サイトカイン産生やROS産生は著明に上昇したが、電気刺激によりそれらの産生は有意に抑制された。その作用機序として細胞内代謝に着目し、検討した。通常、LPS刺激を行うと解糖系代謝は亢進し、M1マクロファージへの分化を促進させるHIF-1α発現は上昇する。本研究においても同様の現象を確認したが、電気刺激群では解糖系代謝の亢進は認めたものの、LPS群と比べHIF-1α発現は有意に抑制された。また、解糖系代謝の分岐路であるペントースリン酸経路の中間代謝産物(セドヘプツロース7リン酸)の産生増加、ならびにペントースリン酸経路で産生される抗酸化作用を有するNADPH産生も増加した。さらに、炎症刺激下で抗炎症作用を有する乳酸産生についても電気刺激にて有意に増加した。以上のことから、炎症刺激下マクロファージに対する電気刺激はペントースリン酸経路への移行を促進し、抗酸化作用を有するNADPH産生および乳酸産生を増加、HIF-1α発現を抑制することで抗炎症、抗酸化作用を発揮する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、炎症刺激下におけるマクロファージと線維芽細胞のオートクリン・パラクリン作用について検証する予定であったが、電気刺激のマクロファージに対する抗炎症、抗酸化作用が著明であったので、新規性ならびに臨床応用の観点からそちらのメカニズム解明を優先させた。そのため研究計画に一部変更があり、マクロファージと線維芽細胞の共培養に至っていない。電気刺激の抗炎症・抗酸化作用のメカニズムについては、今後さらに検証していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
電気刺激のマクロファージに対する抗酸化・抗炎症作用については確認できたため、今後は遺伝子のノックダウン実験を行い、電気刺激により細胞内代謝が変化し、抗炎症・抗酸化作用を発揮したという仮説の裏付け検証を実施し、論文投稿予定である。
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