研究課題/領域番号 |
20K19632
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 周平 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (90851345)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | FABP / pDC / Treg / lipid metabolism / FABP5 / Tumor microenvironment / Lipid metabolism / Tumor Immunology / 脂質応答 / 免疫制御 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、脂質の主要な基本骨格である長鎖脂肪酸の多寡により炎症性疾患の寛解や増悪が認められることが相次いで報告され、細胞内外の脂質栄養環境による免疫細胞の制御に大きな注目が集まっている。しかしながら、免疫細胞内外の脂質栄養環境が、どのような分子メカニズムにより免疫機能制御に影響するかは未だ多くが謎に包まれている。本申請では、免疫制御に重要な制御性T細胞 (Treg)とその誘導因子の一つである形質細胞様樹状細胞 (pDC)に着目し、脂質環境変化に対してpDCとTregの機能的連関がいかなる応答を示すのかについて、細胞レベルおよび病態モデルで検証する。
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研究成果の概要 |
申請者は、FABP5を欠失した形質細胞様樹状細胞 (pDC)は、末梢における制御性T細胞 (Treg)の誘導能が減弱することを見出した。また、FABP5欠損pDCにより誘導されたTregは、主要転写因子であるFoxp3の発現が減弱しており、免疫抑制能が低下することも明らかにした。FABP5欠損マウスでは、腫瘍微小環境内に集積したpDCによるTregの誘導が減少し、腫瘍の増殖が抑制される。これらのことから、pDCにおけるFABP5を介した脂質恒常性が、他の免疫細胞への関与により炎症性疾患を制御するという新規免疫メカニズムを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、pDCが腫瘍微小環境内 (TME)で重要な役割を担うことが示唆されている。またTMEは、糖をはじめとする栄養状態が異常になっていることが報告されている一方で、脂質代謝異常が免疫細胞に及ぼす影響は未だ不明な点が多く存在する。本成果によって、TME内で重要な位置づけにあるTregの誘導に、pDCにおけるFABP5を介した脂質恒常性が強く関与することが明らかになった。これら脂質恒常性を介した細胞連関の理解は、炎症性疾患における免疫制御の包括的な理解のためには必要不可欠であり、本研究成果はその一つを明らかにした重要なものであると考えられる。
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