研究課題/領域番号 |
20K19754
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小向 翔 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70794543)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | がん登録 / ネット生存率 / 一般集団生存率 / 多重頑健推測法 / 二重頑健推定量 / 生存時間解析 |
研究開始時の研究の概要 |
地域がん登録はがん対策を行う上で重要ながん患者の正確な実態把握や現状分析に有効活用されており、その解析手法の整備は重要な課題の一つである。地域がん登録データ解析では死因が未観測という特徴からネット生存率と呼ばれる仮想的ながん生存率が使用される。ネット生存率の推測法としてノンパラメトリック法や数理モデルに基づいた方法が複数提案されているが、実データ解析において問題とされる患者背景情報に依存した打ち切りの存在下では数理モデルの使用が必要となる。本研究では、複数の数理モデルの同時使用により数理モデルの誤特定リスクを軽減させた多重頑健推測法の開発を行い、より柔軟に実データに適合する方法を与える。
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研究成果の概要 |
がん登録データ解析で頻繁に使用されるネット生存率の推定において、他死因死亡の影響を調整するために使用される一般集団生存率のバイアス補正法を提案した。これは一般集団生存率にがん患者の影響が含まれている場合に発生するバイアスの補正方法である。また、がん登録データと一般集団間で他死因生存率の分布が異なる場合の補正法を提案した。 過剰ハザードモデルのEMアルゴリズムに基づく推測法の理論的正当化を行い、漸近分散推定量を提案した。これらの研究を踏まえ、ネット生存率の多重頑健推測法の提案を行った。過剰ハザードモデルに関する研究は統計雑誌に掲載された。それ以外の研究成果は現在投稿中1編、投稿準備中2編である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん登録データはがん対策の評価を行うために重要な役割をになっている。実際にがん登録データ解析の結果からがん対策の見直しが行われる。本研究はがん登録データ解析において使用される一般集団生存率に対する根本的な問題を議論した研究であり、この問題に対する初めての数学的に厳密な方法である。また、過剰ハザードモデルの推測法の理論的正当化は方法論の発展に重要な議論であり、実際には、この理論を応用した多重頑健推測法の理論的正当化が可能となった。多重頑健推測法ではモデルの誤特定リスクを軽減し、より数学的仮定に依存しない推測を可能とし、これは実データ解析と方法論研究の双方に重要な結果である。
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