研究課題/領域番号 |
20K19914
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水野 聖士 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (80646795)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 層別化 / 臨床的多様性 / 妊娠高血圧症候群 / バイオインフォマティクス / 精密医療 / 機械学習 / 時系列クラスタリング |
研究開始時の研究の概要 |
病態が不均一な多因子疾患に対して、遺伝・曝露因子などで患者を層別化し、サブクラスごとにリスク予測や治療成績の最大化を行う精密医療の実現のための層別化手法が検討されてきたが、治療成績の最大化・多様性の機序理解に有用な手法は開発されていない。そこで、妊娠高血圧症候群(HDP)を例にとり、1) HDPの有害アウトカムを目的変数とした変数選択に基づく遺伝情報・曝露情報・オミックス情報の層別化 2) 層別化情報の統合で得られる立体的なサブクラスごとの、臨床的多様性に関連するリスク因子の組み合わせ推定 3) データ・知識を統合する多層ネットワーク上のリスク因子の背景構造の抽出・解析の3つの手法開発を行う。
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研究実績の概要 |
本年度は、前年度に行なった東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査参加者のうち、妊娠高血圧症候群(HDP)患者約二千名を対象にした、有害アウトカムに関連する特徴を使用したクラスタリングで得たクラスタを詳細に解析したところ、臨床的多様性を説明可能なクラスタが得られなかった。そのため、臨床的多様性に対応する層別化を行うため、以下の解析を実施した。HDP患者の妊娠40週までのすべての妊娠週数の病態が、既存のどの病型分類の定義に当てはまるかを、アメリカ産婦人科学会の病型分類の基準に従い同定した。これにより、HDP患者の妊娠中の病態の経時変化を反映した時系列フェノタイプを得た。得られた、HDP患者の時系列フェノタイプに対して階層的クラスタリングを実施し、得られた階層および病態変化のパターンから、8種類の時系列サブタイプ(temporal-subtype)を見出した。得られたサブタイプの臨床的特徴を解析したところ、最終的に判定される病型が同じでも、病態が変化した妊娠週数、病態が変化してから出産までの時間、HDPの重要なアウトカムの一つである早産や低出生体重の割合が、大きく異なることを示した。病態変化の時期が遅く、病態変化から出産までの期間が短く、低出生体重の割合が多い時系列サブタイプをsevere temporal-subtype、そうでない時系列サブタイプをmild temporal-subtypeとし、得られた8つの時系列サブタイプは、HDPの臨床的多様性を反映していることを示した。また、時系列サブタイプのより詳細な特徴の理解のために、関連する妊娠中の曝露因子を探索し、時系列サブタイプに特徴的な、妊娠早期のいくつかの血液検査項目や生活習慣などの曝露因子を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までに行っていた有害アウトカムに関連する特徴を入力にするコミュニティ検出による層別化で、臨床的意義のあるコミュニティが得られなく、妊娠中の病態の変化に基づく層別化に研究方針を変更したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、以下のとおりに推進する予定である。 1. 時系列サブタイプと、既存のHDPの病型分類との間で、HDPの有害アウトカムの予測能の比較。 2. 時系列サブタイプに関連する曝露因子、遺伝因子の組み合わせの同定とそれらの相互作用解析。 3. 遺伝情報と曝露情報の相互情報量を使用し構築したネットワーク上での、相互作用のある因子の背景構造の同定。
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