研究課題/領域番号 |
20K20110
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
木村 直樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (80846238)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 冷却分子イオンビーム / イオン蓄積リング / 分子分光 / 輻射冷却 / 実験室プラズマ / 中性粒子検出 / 分子イオン分光 / 分子イオン時計 |
研究開始時の研究の概要 |
第3世代原子時計の有力な候補の一つとして期待されている分子イオンCaH+の時計遷移(振動遷移:v=0→1)の遷移エネルギーを実験的に初めて測定することに挑戦する。 本実験では、プラズマイオン源で生成されたCaH+の分子イオンビームを極低温静電型イオン蓄積リングの周回軌道に捕捉・蓄積した上でパルスレーザーを照射し、光解離を用いた能動的分光法によって振動回転スペクトルを観測する。長時間蓄積中の輻射冷却過程がもたらす分子イオンの広範な振動準位分布は、従来の分光手法では得ることが出来なかった『振動励起状態』『振動基底状態』両方のエネルギー情報を与え、目的の時計遷移のエネルギー導出を可能にする。
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研究成果の概要 |
次世代原子時計の候補の一つとして期待されている『分子イオン時計』の実現に貢献する分光実験を目指し、理化学研究所の極低温静電型イオン蓄積リングを用いた冷却分子イオンビームの実験を遂行した。 当初予定していたCaH+の実験はイオンビーム生成の確認のみにとどまったが、同じ質量を持つArH+を用いたテスト試験を実施し、500秒のイオン蓄積に成功した。これによって、CaH+イオン蓄積の実験パラメータが決定された。また、本分光実験に不可欠な低ノイズの高速中性粒子検出器の開発にも成功した。 さらに、他のイオン蓄積・分光実験を通じて、実験室プラズマにおける状態分布や孤立系における輻射冷却過程の理解が大きく進んだ。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本課題の成果によって、CaH+の分光実験の道筋がつけられた。今後、分子イオン時計の実現に向けて最も重要な振動遷移波長の分光情報が得られるものと期待される。 また、本課題で整備された検出器は、C2-,N2O+など他のイオンの分光およびイオン蓄積実験に活用され、当初予定していなかった知見が数多く積みあがっている。本知見は、このような二原子分子、三原子分子の長時間ダイナミクスにのみ現れる特異的な効果を検証する、より野心的な研究課題へと引き継がれている。
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