研究課題/領域番号 |
20K20259
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
佐藤 健斗 北海道科学大学, 保健医療学部, 助教 (80868373)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | セルロースファイバー / 短下肢装具 / 製造方法 / セルロースナノファイバー |
研究開始時の研究の概要 |
セルロースナノファイバー複合材料を用いた短下肢装具を実用的に臨床で活用するための製造工程を確立する.セルロースナノファイバーを用いた製造法においては,どのような製造工程が運用しやすく,かつ安定した製造ができるのか短下肢装具製造工程のプロトコールを確立する.加えて,短下肢装具として形にしたセルロースナノファイバー複合材料の厚みと機械特性の関係性を機械試験によって明らかにするとともに,歩行に必要な装具全体の矯正力が担保できているか歩行分析によって実用性を明らかにする.
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研究実績の概要 |
脳卒中片麻痺患者は,障害の程度によっては歩行が困難となるため,ポリプロピレン等のプラスチックを主材とした短下肢装具を装着することが多い.しかしながら現在の装具では冬期間の破損のリスクが高いことや,一定の強度を要する為に素材の厚みを厚くせざる負えない状況から靴の選択の幅を狭めることで利用者からの受け入れが悪い状況にある. 一方で,近年注目されているセルロースナノファイバーは素材として高強度かつ低比重であり環境負荷も小さく,プラスチックの複合材として大きな可能性を秘めており,現在のプラスチック製装具の持つ問題を解決する可能性を秘めている. 本研究ではセルロースナノファイバーを複合材として用いた短下肢装具を実用的に臨床で活用するための製造工程を確立することを目標とする.セルロースナノファイバーを用いた短下肢装具の製造においては,どのような製造工程が運用しやすく,かつ安定した製造ができるのか短下肢装具製造工程のプロセスを確立する. 加えて,短下肢装具として形にしたセルロースナノファイバー複合材料の厚みと機械特性の関係性を機械試験によって明らかにするとともに,実際の短下肢装具使用者を対象とした歩行分析や,筋骨格モデリングシミュレーションソフトを利用した検討によって,その特性および実用性を明らかにする. 本研究によってそれまで装具の受け入れが悪く,利用につながっていなかった脳血管障害患者を装具の利用につなげ,健康寿命の延伸に少しでも力添えできればと考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は熱硬化性樹脂へセルロースナノファイバーの混練を安定して行うことができるようになった.また,義肢装具領域で使用されているアクリル樹脂の中でも混練が容易にできる材料を特定することができたことがこれまでの成果である.
今年度は,セルロースナノファイバーの添加量と増粘性の関係と,義肢装具材料で扱われる熱可塑性樹脂へ添加した際の機械特性の変化を3点曲げ試験を基に調査した. その結果,機械特性に影響を与える添加量では,一般的なラミネーション成型が困難である可能性が出てきたため,他の方法を検討する必要性が生じ,計画に遅れが出ているのが現状である.また、研究者の想定だけではなく、今回の研究の成果が装具ユーザのどのようなニーズに答えることが出来るかを探るために、ユーザーインタビュー調査を行ったことも理由の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
セルロースナノファイバーよりも繊維径の大きい、セルロースマイクロファイバーの方が、義肢領域で使用する樹脂や、混錬条件で良好な分散をする傾向がみられた。昨年度の計画と同様に、セルロースマイクロファイバーを用いた改良樹脂で板材を製作し、物性を確認する。可能であれば、装具の形にして、評価を行っていきたいと考える。 また、今年度同様に研究者の想定だけではなく、今回の研究の成果が装具ユーザのどのようなニーズに答えることが出来るかを探るため、ユーザーインタビュー調査を行うことも検討している。
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