研究課題/領域番号 |
20K20390
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補助金の研究課題番号 |
18H05384 (2018-2019)
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 (2020) 補助金 (2018-2019) |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川口 義弥 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (60359792)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2020年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2019年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2018年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | SASP / 膵癌 / マウスモデル / 膵臓 / 再生と癌 / 再生 / 癌 |
研究開始時の研究の概要 |
組織立体構築の細胞コミュニティーでは、構成細胞の挙動を統括する一定のルールが存在する。 “再生と癌それぞれの細胞コミュニティー内での細胞挙動を統括するルールの違い”を理解し、新たな癌治療標的の端緒を得ることを目指す。具体的には、マウス膵外分泌組織に対してミトコンドリアストレスを惹起しするモデルを用い、その際に発がんシグナルの有無によって生じるストレス応答反応の共通点と相違点を明らかにする。発がんシグナルなしの場合の反応(組織再生現象)が癌の病態の中でどのような意義を有するかに着目することで、新たな癌治療標的の端緒を得ることを目指す。
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研究成果の概要 |
組織立体構築の細胞コミュニティーでは、構成細胞の挙動を統括する一定のルールが存在する。 本研究では“再生と癌それぞれの細胞コミュニティー内での細胞挙動を統括するルールの違い”を理解し、新たな癌治療標的の端緒を得ることを目指した。 細胞がストレスを受けると、自らは細胞老化に陥るが、特殊なタンパク質を分泌して周囲細胞に働きかける仕組み(SASPと呼ぶ)を持つ。マウス膵外分泌細胞にストレスを加えた結果、再生現象ではSASPが一過性に働いて臓器恒常性が保たれ、最終的にストレス細胞も除去されたが、膵外分泌細胞癌ではストレス細胞が長期に居座ってSASPが遷延する結果、癌の増大が促進されることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
マウス膵外分泌細胞に対する2種類のミトコンドリアストレスにより、再生モデルと癌モデルに共通した分子によるSASPが惹起された。SASP分子に対する中和抗体やSASP下流シグナルの阻害化合物の投与により、癌腫進行が著明に阻害された。再生と癌でのSASP持続期間の違いは、PDL1発現による免疫回避機構活性化期間の違いが関与する可能性がある。以上の成果は、慢性炎症による癌進行メカニズムの責任分子解明に貢献しており、新たな治療ターゲットとなり得ると考えられる。
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