研究課題/領域番号 |
20K20469
|
補助金の研究課題番号 |
19H05561 (2019)
|
研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
|
配分区分 | 基金 (2020) 補助金 (2019) |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤代 準 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60528438)
|
研究分担者 |
須田 亙 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 副チームリーダー (20590847)
川島 祐介 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, ユニット長 (30588124)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2020年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2019年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
|
キーワード | 便 / プロテオーム解析 / 胆道閉鎖症 / 早期診断バイオマーカー / 胎便 / 腸内細菌叢 / 急性虫垂炎 / ヒルシュスプルング病 / 尿 / プロテオーム / 新生児 / 小児外科 / 壊死性腸炎 / 細菌メタゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒト便プロテオーム解析技術を構築し胆道閉鎖症および胎便に関する研究を開始している。胆道閉鎖症患児の術前の便中には、特徴的なタンパクプロファイルが存在する可能性が示唆された。今後も症例の蓄積を行い、便を用いた胆道閉鎖症の早期診断マーカーの探索を進める。また、壊死性腸炎に代表される未熟腸管に起因した腸管トラブルの病因解明と新しいバイオマーカーの探索さらには新規治療法の開発を目指し、胎便の解析を進める。
|
研究実績の概要 |
①かずさDNA研究所と共同して開発したData-independent acquisition massspectrometry(DIA)ベースの便プロテオーム解析を利用した研究を進めている。 ①-1: 胆道閉鎖症(BA)の早期診断と早期治療を目指し非侵襲的に採取可能な便を利用してBAの早期診断バイオマーカーの探索研究を継続している。本研究成果は2020年に国際誌に発表し2021年度は国内外の学会で多く発表し評価を得た。2022年度も継続して検体収集を行なっている。また葛西手術後の腸内環境に関する解析も進めている。①-2: 胎便中に含まれるヒト由来タンパク質に着目して新生児期に発症する消化管疾患のバイオマーカー探索および病因の解明を目的とした胎便研究に着手している。2019年から2021年にかけての約2年間に東京大学医学部附属病院で259症例の胎便を収集しプロテオーム解析を行い胎便中に存在する5,370種類のヒト由来タンパク質の検出に成功した。本研究では、詳細な臨床データとともに統計学的手法を用いて多角的に解析を行った(unpublished data)。本研究成果は2022年度の学会で発表し現在論文作成中である。①-3: 新生児期にストーマ造設を行った児に関して遠位側腸管へのストーマ排液注入(MFR: mucosal fistula refeeding)の効果についての研究を進めている。本研究成果は2021年度、2022年度の学会で発表し現在論文作成中である。 ② 腸内細菌叢解析研究では理化学研究所と連携して進めている。 ②-1 筑波大学との共同研究において小児急性虫垂炎患児の唾液、便、虫垂内容液を採取し解析を行った。本研究成果は2021年度、2022年度の学会で発表し既に国際誌へ掲載された。②-2 Hirschsprung病類縁疾患の腸内細菌叢解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
かずさDNA研究所と共同して開発したData-independent acquisition mass spectrometry(DIA)ベースのプロテオーム解析を用いて便プロテオーム解析を進めている。 胆道閉鎖症(BA)に関しては共同研究機関と連携して8症例の便サンプルが回収できている。またNICCD(3例)や門脈体循環シャント(1例)などBAの鑑別診断となる乳児胆汁うっ滞性疾患(non-BA)の便回収も順調に進んでいる。葛西術後のBAに関する研究では既にBA術後健常群5例、BA術後移植群8例、健常コントロール32症例の解析を終えている。胎便中のヒト由来タンパク質に着目して新生児期に発症する消化管疾患のバイオマーカー探索および病因の解明を目的とした胎便研究では259症例の胎便解析を終え学会発表を行い論文執筆中である。また 新生児期にストーマ造設を行った児に関して遠位側腸管へのストーマ排液注入(MFR: mucosal fistula refeeding)の効果についての研究も進めている。本研究成果は2021年度、2022年度の学会で発表し現在海外誌投稿中である。以上のように便プロテオーム解析を用いて精力的に研究進めた結果、徐々に成果が出始めている。
|
今後の研究の推進方策 |
DIAベースの便プロテオーム解析を利用して胆道閉鎖症(BA)の早期診断バイオマーカーの探索を継続する。本研究にて報告できたCEACAM1やその他のBA早期診断バイオマーカー候補タンパク質の絞り込みを進め実臨床を想定して ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)やSRM( selected reaction monitoring )を用いた解析を進めていく。加えてプロテオーム解析を用いた胆道閉鎖症術後の腸内環境の研究を推進し術後胆管炎のリスクファクターおよび早期診断バイオマーカの探索を推進する。また胎便研究を推進し胎便タンパクプロファイルの作成に加えてNEC(Necrotizing enterocolitis)、MRI(Meconium related ileus)、FIP(focal intestinal perforation)、ミルクアレルギーなどの新生児期に発症する消化管疾患のバイオマーカー探索および病因解明を目指す。さらに腸内細菌叢解析、便プロテオーム解析、メタボローム解析を駆使して、小児炎症性腸疾患、ヒルシュスプルング病関連術後腸炎(HAEC)、短腸症候群などの小児外科疾患の層別化、予後予想、早期治療介入を目指したオミクス研究に着手する。加えて、各疾患コントロールとして重要となる各年代における健常小児の便解析を進め健常小児の便中に含まれるヒトタンパク質プロファイルの作成を目指していく。
|