研究課題
挑戦的研究(開拓)
本研究は下記の2つの大目的を達成するための研究を計画する。(I)認知能、記憶・学習を司る脳・神経系が骨代謝を制御するか否か?【脳・神経→骨】(II)力学的負荷/リハビリテーションは記憶・学習能力を改善するか?【骨→脳・神経】また(III)骨と脳・神経のリンクを司る分子実態の同定を目指す。
アルツハイマー病モデルマウスを用いて、アミロイドβが骨組織に沈着し骨量減少を引き起こすことを明らかにした。骨組織へのアミロイドβの沈着は、脳内での沈着や認知機能・学習機能の低下とも独立して発生する可能性が示唆された。またこのモデルマウスでは行動異常の発症時期に前後して、何らかの循環性の細胞と膝関節細胞での遺伝子発現変化を介して、軽い運動負荷(トレッドミル)による脛骨の易骨折性を誘導した。脳内の変性に依存する液性因子が骨脆弱性を引き起こすことが示唆された。この骨脆弱性は自然発生の学習記憶障害を呈するマウスでは検出されなかったことから、神経障害性のアミロイドβに依存した骨脆弱性であると考えられた。
加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下するフレイルやロコモーティブシンドローム(ロコモ)は要介護状態の前段階であり、フレイルや初期のロコモの段階で積極的に改善をめざすことができれば超高齢社会で要介護人口の増加に歯止めをかける一助となる。その意味で、リハビリや運動療法は初期の認知症やフレイルを発症した高齢者に推奨される。リハビリや運動療法が認知症にも効果があることを分子レベルで証明できれば、それを人為的な治療・薬剤開発の基盤にできる。運動器と脳・神経系の関連を担う因子を探求することは、学術的にも新たな発見につながり、社会的にも新規制御法の開発に繋がる。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
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