研究課題/領域番号 |
20K20562
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邉 峻一郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (40716718)
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研究分担者 |
黒澤 忠法 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (30720940)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
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キーワード | 高分子 / 化学ドーピング / 超伝導 / 低温物性 |
研究開始時の研究の概要 |
固体物質の「超伝導」状態では、電子は散乱を受けず伝導するため電気抵抗がゼロとなる。1964年にLittleによって高分子が超伝導状態となることが理論的に予想されたが、半世紀経った今でも高分子超伝導体は実験的に発見されていない。本研究では、申請者が独自に開発した高結晶性高分子とそのドーピング手法を基盤技術として、超伝導状態となり得る高分子の開発を目指し、世界初の高分子超伝導体を実現する。
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研究成果の概要 |
本研究では、パイ共役系高分子において、超伝導転移を実現を目指した物質科学の研究を遂行した。1高分子ユニット あたり1電荷が実現された高伝導度高分子において、金属的な電子輸送が実現していることが明らかとなった。また、低分子結晶表面に高密度にドーピングを施した結果、有機半導体では世界初となる金属絶縁体転移を観測することに成功した。本結果は、乱れを有する系においても電子相転移が実現することを示唆し、超伝導転移の可能性も見出されつつある。最終目的であった高分子超伝導の実現は達成されなかったが、ドーパント材料とドーピング技術に多大な成果が得られ、低温物性測定を継続することで電子相転移の可能性を模索する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、高分子半導体のナノスケール空隙を機能性空間として活用することにより、ホストの構造周期性を乱すことなくゲストとなる異種分子の導入・脱離・交換を実現した。高い結晶性・高い電気伝導度が実現された高分子の中では、電子は波のように振る舞い、通常の金属が示す電子物性をすべからく満たすことも分かってきた。つまり、固体物理学の標準理論で説明可能な電子相転移が高分子材料でも実現する可能性が強く示唆された。高分子の結晶性と電子物性を固体物理学の観点から整備した上で物質科学を展開することで、貴金属の代替だけでなく、様々な物理化学現象の制御に貢献することが期待できる。
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