研究課題/領域番号 |
20K20571
|
研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
天竺桂 弘子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80434190)
|
研究分担者 |
佐藤 令一 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 名誉教授 (30235428)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2020年度: 15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
|
キーワード | 組織親和的侵入 / Copidosoma floridanum / 多胚性寄生蜂 / 組織擬態 / 桑実胚 / 分子擬態 / 組織親和的侵 / 異物認識 / 急性免疫拒絶反応 |
研究開始時の研究の概要 |
宿主体内への侵入は、多胚性寄生蜂において寄生成功の必須要件である。この侵入において、多胚性寄生蜂の桑実胚は宿主組織内に損傷を与えることなく侵入し、むしろ宿主は桑実胚を積極的に迎え入れる。このような組織親和的侵入は、一般的に動物界で広く知られる遠縁種間の急性型移植拒絶反応を回避するユニークな現象で、その仕組みとして分子擬態が示唆されてきた。本研究では申請者らがこれまでに多胚性寄生蜂の胚発生期の遺伝子発現解析で得られた情報を基に、組織親和的侵入の仕組みを解明することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
本年度は、cDNAクローニングし配列決定した組織親和的侵入に関わる因子の特性解析および、RNA干渉の手法の構築を試みた。最初に、キンウワバトビコバチの組織親和的侵入に関わる因子のmRNA発現の挙動を調べたところ、桑実胚の時期のみ、その発現が上昇し、多胚になると、その発現が低下することが明らかになった。また、幼若ホルモンJHをキンウワバトビコバチ胚子培養系に添加し、キンウワバトビコバチの組織親和的侵入に関わる因子のmRNA発現の挙動を調べたところ、その発現が低下した。このことから、キンウワバトビコバチの組織親和的侵入に関わる因子は、宿主の発育段階において、JHの影響を受けることが強く示唆された。 次に、RNA干渉の手法の構築を試みた。桑実胚培養系にdsRNAを添加し、キンウワバトビコバチの組織親和的侵入に関わる因子の転写産物の発現量を定量RT-PCRを用いて検討した。その結果、転写産物の発現量が低下し、RNA干渉が成功したと考えられた。現在、さらに発現を低下させる手法を検討している。また、組織親和的侵入に関わる因子の部分配列を用いて作製した抗血清と、組換えタンパク質または、キンウワバトビコバチ胚子を用いて交差性を検討したところ、交差性が確認できなかった。そのため、部分配列の位置を変更し、抗体を作り直し、交差性を確認する予定である。 昨年度に引き続き、キンウワバトビコバチ胚子による寄主胚子侵入を検討するアッセイ系の構築を試みた。しかし、健康な宿主個体およびキンウワバトビコバチを確保できなかったこと、機器故障等のトラブルに見舞われ、十分に検討ができなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昆虫発生時期にキンウワバトビコバチの寄主昆虫を採集するための移動が制限されていたこと、感染防止のための昆虫採集活動制限が主な原因である。本年度は思った以上に、昆虫採集活動の制限が生じた。そのため、本年度も実験で必要な昆虫数が十分に準備できなかった。加えて、機器故障などのトラブルが生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
昆虫採集活動制限がなくなりつつあるため、キンウワバトビコバチの寄主昆虫個体も準備できると思われる。来年度は、ゲノム解析結果、組織親和的侵入に関わる因子の特性解析の結果もまとまるため、論文として発表できる段階に達すると思われる。
|