研究課題/領域番号 |
20K20741
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
玉井 克哉 信州大学, 経法学部, 教授(特定雇用) (20163660)
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研究分担者 |
堀田 秀吾 明治大学, 法学部, 専任教授 (70330008)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 商標法 / 出所表示機能 / 品質保証機能 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、商標法理論の原理的な再構築を目指すものである。19世紀に現れた近代商標制度の根幹は商標の「出所表示機能」であり、今日でも日本ではそれが妥当する。だが20世紀の高度大衆消費社会にそれは動揺し、デジタル・プラットフォームの登場した今日では、決定的に不適合である。特に、A.商品のトレーサビリティの確保、B.ネット販売におけるブランドイメージ、さらにC.ネット販売における「事業者」の意義について、目前の課題である。これらに既存理論の下で個別的対処を図るのではなく、「品質保証機能」こそが商標の基本機能だとする方向で商標法理論全体を組み直すことで対応するのが、本研究の眼目である。
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研究実績の概要 |
本研究は、いわゆるGAFAなどによるデジタル・プラットフォーム上の購買環境が発展した現状を踏まえ、商標法理論の原理的な再構築を目指すものである。19世紀に現れた近代商標制度の根幹は商標の「出所表示機能」であり、今日でも日本ではそれが妥当する。しかしながら、20世紀の高度大衆消費社会にそれは動揺し、デジタル・プラットフォームの登場した今日では、決定的に不適合である。特に、A.商品のトレーサビリティの確保、B.ネット販売におけるブランドイメージ、さらに、C.ネット販売における「事業者」の意義について抜本的に見直すことが目前の課題である。これらに既存理論の下で個別的対処を図るのではなく、「品質保証機能」こそが商標の基本機能だとする方向で商標法理論全体を組み直すことで対応するのが、本研究の眼目である。 令和5年度においても当初計画を継続し、上記A.に関し、酒類におけるトレーサビリティの確保を中心に研究活動を行った。とくにコロナ禍で中断していた対面調査の計画の一部を実現させることができた。即ち、①日本洋酒輸入協会に対して記録に残る公式な形で2回のヒアリングを行い、加盟社に対する非公式のヒアリングで内容を補った。また、②所管官庁である国税庁酒税課との間で対面での意見交換を行った。さらに、③蒸留酒として関税協議の対象となり、しかも地域的特性が強く発揮される品目として奄美地方の「黒糖焼酎」を選定し、そのブランドイメージの向上策について地元企業から対面でヒアリングを行ったほか、地域ブランドの一環としての商標の品質保証機能という着想を得た。 特筆すべき成果として、国税庁酒税課に対して研究成果の社会実装を働きかけており、それが実現する見通しも出てきている。目に見える形で公開されるのは令和6年度以降となるが、国の法令という形での社会実装という、特筆すべき成果の実現を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度においては、文献調査などについてはおおむね研究計画どおりの進展を得ており、また国税庁酒税課によるルール形成についても顕著な見通しを得ることができた。また前年度までのコロナ禍の影響を克服すべく、本研究のために不可欠な対面調査や出張を含む実地調査を精力的に行った。しかし、従前の遅れを完全に取り戻すことはできなかった。 そのため、「やや遅れている」との評価が妥当だと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の影響によって遅れている対面によるインタビュー調査の計画は令和5年度において一部実現したが、それを精力的に進める。また令和6年度は最終年度に当たることから、それらの成果と文献調査による知見を統合して、論文の形で本研究の成果を発表したい。さらに、社会実装に向けた各界への取組みを進めたい。
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