研究課題/領域番号 |
20K20760
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
早川 和彦 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (00508161)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | パネルデータ / VARモデル / 不均一性 / 階層モデル / EMアルゴリズム / バイアス修正 / 高次元データ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、計量経済学と心理統計学の両分野で利用可能な、パネルベクトル自己回帰(VAR)モデルの新しい推定量を提案する。具体的には、自己回帰係数がクロスセクション主体ごとに異なるパネルVARモデルを考え、その新しい推定量を提案する。心理統計学において、パネルVARモデルを推定する方法がいくつか提案されているが、計算負荷が高いなど、実用上の問題がある。そこで、計量経済学の分野で使われている平均グループ推定量を用いた、新しい推定量を提案し、数値実験を通して新しい推定量と既存の手法の推定精度の比較を行う。
|
研究実績の概要 |
本研究では,経済学や心理統計学など多くの分野で用いられている高次元パネルデータを用いた(ベクトル)自己回帰((V)AR)モデルの推定について考察した。具体的には,自己回帰係数・定数項・誤差分散がクロスセクションごとに異なる(V)ARモデルについて考察しているが,このタイプのモデルの推定には,制限付き最尤推定量とベイズ推定量がよく使われている。しかしながら,これらの方法には問題点がある。制限付き最尤推定量は誤差分散に均一性を課す必要があるため,誤差分散が不均一である場合,妥当性を持たない。また,ベイズ推定量はマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いるため,計算に時間がかかってしまうという欠点がある。そこで,本研究では,これらの問題点を解決するために平均グループ推定量を提案した。平均グループ推定量は,最小二乗推定量に基づいているため,計算は非常に速く,また,すべてのパラメータに不均一性を許すことができるため,制限付き最尤推定量とベイズ推定量の問題点を克服している。 しかしながら,ナイーブな平均グループ推定量は小標本バイアスを持つため,統計的推測の精度が悪くなってしまうという欠点がある。そこで,この問題を解決するためジャックナイフバイアス修正と解析的バイアス修正の2つを提案した。 モンテカルロ実験を行ってこれらの推定量の性質を調べたところ,バイアス修正平均グループ推定量は非常に優れたパフォーマンスを持つことが分かった。また,ベイズ推定量と比較したところ,パフォーマンスはほぼ同じであるが,計算時間については,バイアス修正平均グループ推定量の方がベイズ推定量よりもはるかに短いことが分かった。 以上の内容を論文として取りまとめ,査読付き雑誌に投稿中である。
|