研究課題
挑戦的研究(萌芽)
発話流暢性障害の種類には主に吃音とクラタリング(早口言語症)がある。近年、発話流暢性障害とSLD(限局性学習症)、ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)が併存する傾向に注目が集まり、これらの問題の重複が発話流暢性障害の慢性化や支援の困難さに影響することの可能性が報告される。発話流暢性障害と発達障害の関連性を明らかにすることは、効果的な支援方法の選択を可能にし、発話流暢性障害発症のメカニズム解明に向けた研究の一助となり得る。本研究では非流暢性症状の生起頻度にどの程度知能の因子が影響するのかという点、SLD・ADHD・ASDの各検査においてどの程度特徴を顕すのかを明らかにする。
本研究では、吃音のある児童、発達障害のある児童、吃音と発達障害を併存する児童、いずれもみられない児童を対象とし、発話課題とWISC-Ⅳ知能検査を実施した結果から、以下の結論を得た。非流暢性症状の生起頻度と相関がみられたのは音読課題のみであった。ワーキングメモリ指標が正常範囲非流暢性生起頻度の増加に関わる可能性が示唆された。吃音と発達障害を併存している児童は、記憶した物語の再生課題において正常範囲非流暢性頻度が高かった。正常範囲非流暢性生起頻度の高さはクラタリングの特徴と共通しており、両群の類似性が示唆された。クラタリングに該当した児童が吃音+発達障害群と同質であることは確認されなかった。
本研究ではWISC-Ⅳ知能検査と非流暢性症状の生起についての関連性を検討した結果、音読での非流暢性生起が言語理解指標やワーキングメモリ指標と相関することが明らかにされた。この結果から、流暢性障害が脳の局所的な障害に起因するのではなく、発達に関わる広範囲な神経回路の影響を受けて発症することが推測された。このことから、本研究は今後の吃音とクラタリングの神経心理学的な研究において、新たな側面の検討に着手し結論を得た点で今後の研究に寄与し、学術的な意義があると考える。
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