研究課題/領域番号 |
20K20890
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
古川 哲也 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10756373)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
|
キーワード | 有機磁性体 / 軽元素 / 反強磁性 / 熱輸送 / スピントロニクス / マグノン / 熱伝導 / 有機結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、磁場擾乱に強く高速応答が可能である反強磁性体を用いたスピントロニクスへの注目が集まっており、その舞台となる物質群の探求が重要課題となっている。また、スピン軌道相互作用が小さく、スピン流を長距離伝搬させることができる系が、従来の舞台と相補的な存在として必要とされている。このような関心・問題意識を踏まえ、申請者は軽元素からなる有機結晶を舞台とした反強磁性スピントロニクスの可能性に注目し、有機結晶における反強磁性マグノン流を、外部磁場による磁気構造の操作によって制御することを目指す。
|
研究成果の概要 |
本研究では、スピントロニクスを研究する新しい舞台を探索するために、有機反強磁性体に注目した。反強磁性秩序が生む磁気励起であるマグノンによる熱伝導を調べるため、κ-(ET)2Cu[N(CN)2]Clおよびβ'-(ET)2ICl2における熱輸送測定を行った。その結果、両塩において反強磁性マグノンによる熱伝導が存在することを明らかにした。この結果は擬二次元有機反強磁性体において顕著な磁気熱輸送現象が生じていることを初めて捉えたものであり、本研究によって有機磁性体が反強磁性スピントロニクスに有望な材料系であることを示すことができた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、物質内の磁気的な自由度を制御するスピントロニクスにおいて、その新しい舞台として有機物反強磁性体が有用な候補であることを示した。有機磁性体は炭素や水素をなどの軽元素から構成されるため、スピン軌道相互作用が弱く、さらにクリーンな系であるため、物質内でスピンが長距離伝搬できる可能性がある。本研究ではバルク結晶を用いた熱伝導測定を行い、格子振動だけでなく反強磁性に特有の磁気励起も熱を運ぶことを明らかにした。
|