研究課題/領域番号 |
20K20893
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
橘高 俊一郎 中央大学, 理工学部, 准教授 (80579805)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 膨張計 / 磁歪 / FFLO超伝導 / 磁場方位制御 / 超伝導 / 超伝導内部相 |
研究開始時の研究の概要 |
クーパー対のスピンや軌道に内部自由度を持つ超伝導体も存在することが分かってきたが、超伝導内部相転移を実験から検出した例は多くない。その要因として、物理量に現れる変化が小さいことや、極低温で磁場方位制御を必要とすることなどが考えられる。本研究では、サブピコメートルの変位分解能を持つキャパシタンス式膨張計を開発し、希釈冷凍機やベクトルマグネットと組み合わせて新奇超伝導相の観測・解明に挑む。
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研究成果の概要 |
本研究では、サブピコメートルにまで分解能を向上させた膨張計を開発し、「磁場方位」も制御要素に加えた極低温磁歪測定を実施して超伝導内部相転移の観測・解明を目指した。当初の計画通りに膨張計の高感度化を実現し、さらに膨張計の小型化にも成功した。非従来型超伝導体CeCoIn5とSr2RuO4の研究に応用し、上部臨界磁場より僅かに低い磁場領域において超伝導内部相転移を示唆する微弱な磁歪異常を検出した。特に、CeCoIn5においては磁歪異常が試料長の測定方位に依存することを磁場角度分解測定から明らかにした。本研究により、新奇超伝導相の秩序変数を同定するための新たな実験アプローチを確立することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、試料長の変化をサブピコメートルの高感度で検出できるキャパシタンス式膨張計を開発し、ベクトルマグネットおよび希釈冷凍機と組み合わせることで、0.1 K以下の極低温まで磁場角度分解磁歪測定が可能な実験装置を実現した。本装置を用いて超伝導相内部で発現するFFLO相転移の検出にも成功し、CeCoIn5のFFLO相転移が異方的な試料長変化を伴うことを見出した。以上のように、本研究の実施によりFFLO超伝導の新たな研究アプローチを開拓することができた。本装置の応用可能性は極めて広く、非自明な相転移を示す様々な系の研究に応用していくことで物性物理学の発展に今後も幅広く貢献することが期待できる。
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