研究課題/領域番号 |
20K21177
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
堀尾 琢哉 九州大学, 理学研究院, 准教授 (40443022)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 微小液滴 / 金属クラスター / 光電子イメージング / 超原子軌道 / 質量分析 / 液滴 / 超短パルスレーザー / 金属ナノクラスター / 超短光パルス |
研究開始時の研究の概要 |
質量分析は,自然科学の広範な分野で用いられる分析法であり,分析感度ならびに質量分解能の向上や新たなソフトイオン化法の開発が日々行われている。本研究では,吐出量ピコリットルオーダーで発生可能な微小液滴とフェムト秒パルスレーザーを融合させた全く新しいソフトイオン化質量分析法の開発に挑戦する。本手法は,既存のエレクトロスプレーイオン化法やマトリックス支援レーザー脱離イオン化法のいいこと取りを目指すものであり,生命科学や医薬品開発の分野に大きなインパクトを与えることが期待される。さらに本研究では,同技術を用いて金属イオンを含む微小液滴から金属ナノクラスターを簡便に合成する実験手法の開発も探究する。
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研究成果の概要 |
微小液滴と超短パルスレーザーによる新規金属ナノクラスター合成法に向け,量子サイズ効果に起因する特異的な電子構造を明らかにする必要がある。本研究では,世界に先駆け,擬似連続ビームとCWレーザーを用いた超高効率光電子画像観測装置を開発した。宇宙空間並みの極希薄試料に対しても,その光電子スペクトル,および光電子放出角度分布をわずか50秒で取得できる画期的な装置である。同装置の詳細を纏めた論文を当該期間中に米国物理学協会の専門学術誌Rev. Sci. Instrum.に掲載した。同論文に加え,当該研究期間中に査読付き論文1報,招待講演1件,関連学会における発表を10件行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
電子がナノメールサイズの極微小空間に閉じ込められると,電子のエネルギーは離散化し,電子はその離散化した状態(軌道)を占有します。金属クラスターという原子が数個から100個程度凝集した極微小粒子では,その金属骨格に電子が閉じ込められた描像が成り立つことが予測されていましたが,実験的にその様子を確かめた研究例は極めて限られていました。本研究では,新たに開発した世界唯一の装置を用い,銀クラスター負イオンにおける電子の振る舞いを可視化することに成功しました。今後予想される多様な量子技術の普及から,量子論の重要性が益々高まるのは必至です。本研究成果は,量子論の基礎学理構築に貢献したと言えます。
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