研究課題/領域番号 |
20K21181
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
小林 由佳 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (80334316)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 有機電子材料 / 有機ラジカル / 電気伝導度 / 物理ゲル / 電子伝導性 / 分子間相互作用 / 電子伝導性液体 / 電気・磁気的機能 / 分子素子 / 有機電子材料・素子 / 機能性有機材料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、伝導性有機ラジカルダイマー結晶体を段階的に有機溶媒で膨潤させて相互作用距離を変化させた場合の電気伝導性および電子状態の変化を詳細に追跡する.期間の前半に、この分子の大量合成を行い、様々な有機溶媒に異なる濃度にて溶解し,濃度と伝導性の相関関係を明らかにする.後半には、それまでに得られた有機溶媒への濃度条件を基にして、詳細なる伝導性の評価および、会合状態の分析を行う. 伝導性の評価には、液体用特殊設計4端子伝導セルを用いて抵抗値の温度依存性を測定し,活性化エネルギーやそのベキ乗則から,伝導メカニズム(ホッピング,バンド伝導など)を実験的に明らかにする.
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研究成果の概要 |
本研究では、有機ラジカル分子を用いて、液体(流動)状態で電子伝導性を示す伝導性ゲルの創製およびそのメカニズムの解明を行った。この電子伝導性ゲルは、有機ラジカルの混入量が僅か8w%程度の濃度で実現した。より高濃度のゲルでは、一般的な有機半導体結晶と同等以上の10-4 S/cmの高い室温伝導度を示した。このゲルを乾固させたキセロゲルは低温まで金属伝導性を示した。この電子伝導性ゲルのXRDおよびキセロゲルのTEM、分光エリプソメトリー等の各種分析を行ったところ、粉体および単結晶と同系の結晶格子を有するが、完全に一致はせず、溶媒を混和した状態でゲル特有の準安定状態を形成することが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、ほとんどの物質の伝導性は固体状態においてのみ発現する。一方で、様々な社会ニーズの変化により、複雑な動きを必要とするロボティクスやアクチュエーション挙動を正確にアウトプットとして取り出すための変形や伸縮を許容する伝導性材料の開発が望まれている。本研究では、有機ラジカル分子が18 wt%程度の混入量で一般的な固体有機半導体を上回る高い伝導性を電子伝導性のソフトゲルの創製に成功した。また、構造や電子状態に関する考察から、流動体中における伝導性のメカニズムに関する知見が得られたため、今後、その機構を他物質へ拡張した次世代の革新的な流動性伝導材料開発へ応用できる。
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