研究課題/領域番号 |
20K21187
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
根本 哲宏 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (80361450)
|
研究分担者 |
中島 誠也 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (70802677)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
|
キーワード | S0-Tn遷移 / 内部重原子効果 / 光化学反応 / ベンゾフェノン / シュードインドキシル / S0 →Tn 遷移 / 光反応触媒 / ラジカル反応 / 超原子価ヨウ素 |
研究開始時の研究の概要 |
光反応が進行するためには、分子は光を吸収しなければならない。一方で申請者らは光反応研究を進める中、超原子価ヨウ素を用いる可視光照射型光反応に共通する「奇妙な現象」に気がついた。それは「通常の光吸収に関与するS0 →Sn 吸収帯の存在しない長波長領域の光を照射した時にも、光反応が進行している」というものである。申請者らは、この現象に対しての答えが重原子の存在にあると着想した。本研究では、分光学、計算化学、実験化学的な検証を駆使することで、光化学反応の新しい設計概念を確立し、今後の光化学研究分野の方向性を大きく転換する新しいコンセプトを提示する。
|
研究成果の概要 |
我々は、近年の超原子価ヨウ素を用いる可視光照射型光反応に共通する奇妙な現象:「吸収帯の存在しない長波長領域の光を照射した時にも光反応が進行している点」に着目し、本現象にヨウ素の内部重原子効果に起因するS0→Tn遷移が関与していることを実験化学的、分光化学的、計算化学的に実証した。本知見を踏まえ、S0→Tn遷移が広く有機合成化学研究に応用可能であるかに関して検討を行った。その結果、ベンゾフェノンを光触媒として用いるC(sp3)-H結合のアルキニル化反応、およびヨードベンゼン誘導体からの可視光照射によるラジカル発生を利用した分子内ラジカル付加によるシュードインドキシル合成に成功した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
光は有機化学反応を促進するためのエネルギー源として利用できるが、分子を励起して活性化するためには、通常は紫外線などの低波長の高エネルギー光を必要としていた。しかし、紫外線などの強力な光は、分子の様々な部分を励起してしまうために、反応性のコントロールが難しいとの問題点があった。その点、可視光は吸収可能な分子構造が限られるため、化学選択的な励起による反応のコントロールが容易である。我々が見出したS0→Tn遷移は、これまで禁制とされてきた直接的な三重項状態の発生を可能にするものである。本遷移を基礎化学的な現象として一般化できれば、光有機化学分野に新しい研究領域を開拓できるものと考える。
|