研究課題/領域番号 |
20K21209
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分34:無機・錯体化学、分析化学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
正岡 重行 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20404048)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 錯体化学 / 多核金属錯体 / 水素イオン / 分子認識 / 水素イオン同位体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、多核金属錯体を利用した水素イオンの同位体認識を目標とした研究を展開する。具体的には、ホスト骨格となる多核金属錯体内の小空間のサイズ・構造を緻密に制御し、各同位体に適した認識場を構築する。得られたホスト分子を用いて望みの同位体イオンを選択的に空間中に捕捉した後、電気化学的刺激によりホスト外へと放出させる。これらのプロセスにより、極めて温和な条件で簡便に水素同位体を高効率に分離・精製可能なシステムが構築される。本提案は申請者のこれまでの研究知見に基づき立案された挑戦的かつ革新的な研究課題であり、類似の着想に基づく研究例は皆無である。
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研究成果の概要 |
ホスト―ゲストの化学において、物質の機能発現に深く関与しているプロトンは興味深いゲストであると考えられ、小空間に捕捉することによって特異な挙動ならびに新たな機能性の発現が期待できる。本研究では、金属イオンと多核化配位子からなる金属5核錯体骨格を活用し、新たなホスト化合物の創出を志向した研究を展開することを目的とした。具体的な研究成果として、まずホスト化合物である異種金属5核錯体の合理的合成手法を確立した。更に、得られた異種金属5核錯体の電子移動挙動の解明を行った。そして最終的には、異種金属5核錯体に内包されたプロトンが物性・機能に与える影響を評価することにも成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、異種金属5核錯体内部の小空間にプロトンを内包させることに成功し、また内包されたプロトンが新奇な刺激応答性を示すことが判明した。この内包プロトンが示す挙動は、従来型の酸―塩基理論では解釈できないものであり、空間的に孤立したプロトンの特異性が示された。すなわち、本研究では従来の概念を打ち破る新たな物質群の創出を達成したと言える。更に、内包プロトンの有無により異種金属5核錯体の物性ならびに水素発生反応に対する触媒機能が大きく変化することも見出され、内包プロトンの重要性が示された。以上の通り本研究は、プロトンを対象としたホスト―ゲスト化学に新たな知見をもたらすものである。
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