研究課題/領域番号 |
20K21219
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高坂 泰弘 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (90609695)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 共役置換反応 / メカノケミカル重合 / メカノケミカル分解 / 主鎖切断 / 不飽和ポリエステル / ビトリマー / 高分子分解 / 主鎖切断反応 / 無溶媒反応 / ミキサーミル / 動的架橋 / 結晶性ポリマー / 固相重合 / メカノケミストリー / 高分子反応 / 固相反応 / 自己修復 / 動的共有結合 |
研究開始時の研究の概要 |
ゴムやプラスチックフィルムは,無数の原子が線状に連結した高分子でできています.本研究では,固体状態で高分子を分解したり,別な性質を持つ高分子に変換する技術を開発します.鍵となるのは,共役置換と呼ばれる化学反応.これまでの研究で,共役置換反応による高分子の分解や構造変換が,溶液中で実現することが明らかになっています.この研究が完成すれば,溶剤を使わず,化学薬品を加えるだけでゴムが固まったり,プラスチック板が柔らかくなったりします.その先には,自在に形状を変化させるゴムや,自己修復材料が待っています.分子レベルの反応を確立し,ロボットや自動車に使用できる新素材を開発することが目的です.
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研究成果の概要 |
ビス[2-(ブロモメチル)アクリレート]とジカルボン酸のメカノケミカル重合は,3級アミン触媒で加速し,特に直線的な構造をもつ固体モノマーで高重合度ポリマーが得られた.この手法は,難溶性モノマーの重合で特に効力を発揮した.得られたポリ共役エステルとジエチルアミンをミキサーミルで混合したところ,共役置換反応を生じて主鎖切断した.ポリマーはガラス状態でも分解するが,ポリマー鎖の相互作用が強いほど分解しにくかった.最後に,アクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体をビス[2-(ブロモメチル)アクリレート]で架橋して,3級アミン触媒存在下で架橋点が組換わり,プレス成形や応力緩和が可能なビトリマーを得た.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
室温,常圧,短時間,無溶媒で重合する,低環境負荷なポリエステル製造法を提供した.また,従来合成困難であった,難溶性モノマーの重合も実現した.さらに,同じ反応機構・プロセスでの高分子分解も実現した.研究では反応解析を容易にするため,合成と分解が不可逆的に進行する系を採用したが,その成果は,メカノケミカルな共役置換反応を酢酸等によるカルボン酸交換反応に応用した,ケミカルリサイクルへの可能性を示した.研究の終盤では,プレス成形や応力緩和が可能なビトリマー材料を創成した.この材料は自己修復性等も期待されることから,さらなる研究に繋がっている.
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