研究課題/領域番号 |
20K21276
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
丸田 隆典 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (50607439)
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研究分担者 |
小川 貴央 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 准教授 (80603802)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 酸化ストレス / プログラム細胞死 / アスコルビン酸 / グルタチオン / シグナル伝達 / 過酸化水素 / シロイヌナズナ / 環境順応 / 活性酸素 / レドックス制御 / 細胞死 / カタラーゼ / 活性酸素種 / 植物 / カタラーゼ欠損株 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ROS誘導性細胞死のサプレッサー変異株の原因遺伝子の解析を通して、ROSのセンシングやシグナル伝達の分子機構解明を目指す。原因遺伝子の一つであるCRUPはシステインリッチドメインを持ち、酸化ストレス下で酸化修飾を受けることが報告されているが、その実質的な機能は未解明である。そこで、CRUPの細胞内局在性や発現などの基本的な特性を明らかにするとともに、酸化還元修飾の有無やその生理学的意義を解析する。また並行して、他の原因遺伝子の機能解明を通して、ROS誘導性細胞死のアウトラインを明確化する。
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研究成果の概要 |
過酸化水素(H2O2)は優れたシグナル分子であり、変動環境における植物の生死決定に重要な役割を担う。本研究では、H2O2誘導性細胞死の分子機構に焦点をあて、独自のバイオアッセイ系を活用した遺伝学的スクリーニングにより、H2O2誘導性細胞死に必要な遺伝子を複数同定した。同定した遺伝子の機能解析を通して、H2O2生成系としての光呼吸の役割と、細胞質型アスコルビン酸ペルオキシダーゼを介したグルタチオン酸化機構の存在を明らかにした。そして、これらのレドックス変化の下流でシステインリッチ機能未知タンパク質が細胞死の発動に関与することを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、酸化ストレス誘導性細胞死に関与する遺伝子を網羅的に同定した。特に、従来は防御酵素として機能するアスコルビン酸ペルオキシダーゼが、過度な酸化ストレス条件ではグルタチオン酸化を介して細胞死を導くことは新しい発見であった。また、同定したシステインリッチ機能未知タンパク質はH2O2感知に関与することが示唆され、今後の解析により未同定の細胞内H2O2センサーの同定が期待される。このように、本研究は酸化ストレス誘導性細胞死の分子機構の解明に大きく貢献した。また、H2O2は変動環境における植物の生死決定に重要な役割を担うため、本研究の成果はストレスに強い農作物の育種に大きく貢献すると期待される。
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