研究課題/領域番号 |
20K21304
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 晋治 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40345179)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 昆虫 / 共食い / 体表ワックス / 雑食性 |
研究開始時の研究の概要 |
フタホシコオロギを用いて、「共食い」の生理学的、栄養学的な条件を検討した結果、栄養分依存的かつパンデミック抑止的に「共食い」が起こることを見出した。また、体表ワックスの成分が「共食い」を抑制的に機能していることも見出した。そこで、本研究では、フタホシコオロギを用いて、①健康状態とCHCの組成の変化を分析し、②体力的に弱者のCHCの生合成遺伝子の変動について検討する。申請期間内には、CHC成分変動による被捕食者となる確率が上がる原因として、フタホシコオロギの代謝系、栄養状態などがCHC生合成と関連していることを突き止め、最終的にはフタホシコオロギでみられる共食いの分子メカニズムの解明に迫る。
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研究成果の概要 |
本研究では、フタホシコオロギを用いて共食い現象と体表ワックス(CHC)の組成の関連性について追究した。まず、CHC生合成経路に関わる酵素遺伝子(FAS、Desat、ELOVL、P450)を同定した。それぞれにはサブタイプがあったため、CHCに関わるか否かを検討中である。 また、フタホシコオロギでは、主に成虫で認められると思われていた攻撃性や共食い行動は、生活環のどのタイミングでも認められることが分かった。特に、幼生期では体サイズの違いによる共食い行動を効率よく再現できるようになった。この幼生期の共食い行動を検定系にすれば、共食い行動とCHCの関連性の研究がさらに発展することがが期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
昆虫の体表ワックスは個体認識あるいは種を認識するためのセミオケミカルとして機能している。フタホシコオロギを用いた本研究により、体表ワックスが共食い行動においても使用されることが初めて示された。本研究で同定したCHC生合成酵素などは、今後、脂質合成酵素など、共食い研究や化学生態学的研究だけでなく、代謝の生化学的なアプローチを行う研究に貢献することが期待される。 また、昆虫の生態系や代謝に関する研究においてだけでなく、行動学や生理学的な「共食い行動」という本能行動を分子レベルで理解するために貢献すると考えられる。
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