研究課題/領域番号 |
20K21315
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
和崎 淳 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (00374728)
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研究分担者 |
中坪 孝之 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (10198137)
渡部 敏裕 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (60360939)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | ミズスギ / 硫気荒原 / ヒカゲノカズラ科 / 強酸性土壌 / アルミニウム / 養分吸収 / 酸性土壌 / 共生微生物 |
研究開始時の研究の概要 |
硫気荒原とよばれる硫酸酸性土壌は、強酸性そのものに加え、溶出するアルミニウムの毒性、不溶化する金属元素の欠乏、硫化水素による呼吸阻害など、植物にとって多重かつ強烈な超ストレス環境である。本研究は、硫気荒原に純群落を形成するヒカゲノカズラ科のミズスギの示す特異な超ストレス耐性の解明に取り組む。ヒカゲノカズラ科はシーラカンスと同様にデボン紀に分化した起源の古い生物で、種子植物に基づく従来の常識とは大きく異なるストレス耐性機構を有している可能性がある。また、硫気荒原のミズスギ根の内部には特徴的な真菌が見出されており、未知の植物-微生物間相互作用によりストレス耐性を示す可能性についても追究する。
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研究成果の概要 |
硫気荒原とよばれる硫酸酸性土壌は、低いpHに加え、溶出するアルミニウムの毒性、必須元素の欠乏、硫化水素による呼吸阻害など、植物にとって強烈な超ストレス環境である。硫気荒原に純群落を形成するミズスギの示す特異な超ストレス耐性の解明に取り組んだ。ミズスギの超ストレス耐性は、高い低pH耐性とアルミニウム耐性によってもたらされていることが示唆された。また、そのアルミニウム耐性は有機酸による解毒よりは体内において隔離すること、あるいは有効利用することにより得ていることを示唆する結果が得られた。微生物による耐性への寄与はあまり明確ではなかったが、硫気荒原に特徴的な微生物群集を形成していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
以上の成果は、これまでモデル植物で理解されてきたストレス耐性の常識を超えた小葉類ミズスギを材料とすることで、未知であった耐性機構を切り崩す端緒となるものである。特にアルミニウム耐性は種子植物においては分泌する有機酸によって解毒したり、有機酸と結合した形態で体内に蓄積したりする仕組みが知られてきたが、これとは異なる形での耐性であると理解される。今後、超ストレス耐性に重要な遺伝子を探索する上で極めて重要な遺伝資源であることが裏付けられ、ストレス耐性研究の新たなモデルとして位置付けられることも期待される。将来的にはこうした耐性の仕組みの活用により、持続的な作物生産につながることも期待される。
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