研究課題/領域番号 |
20K21325
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
奈良 一秀 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60270899)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 菌根菌 / 埋土胞子 / 外生菌根菌 / 津波堆積物 / 古微生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
古代蓮のように、植物では千年以上前の種子の発芽能力が確認されているものの、同じ真核有性生殖生物である菌類については超長期の胞子休眠期間は示されていない。本研究では、地質ボーリングコアに保存された数十年から数百年前の津波堆積物に着目し、そこに含まれる菌根菌の埋土胞子の感染能力を調べることにより、超長期の胞子休眠期間について明らかにする。
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研究成果の概要 |
森林土壌中に休眠状態で存在する外生菌根菌(以下、菌根菌)の埋土胞子は撹乱後の宿主実生の定着を支える。一部の菌根菌では、埋土胞子の生存期間が長期におよぶと推定されているが、十分な検証がなされていない。そこで本研究では、過去の埋土胞子が含まれる可能性のある津波堆積物や、宿主樹木が過去に枯死した場所の土壌試料を用いて長期間の生存期間を検証した。その結果、ショウロ属などの一部の菌根菌の埋土胞子が最大で16年間感染性を維持していることが明らかにされたものの、それよりも長期の生存は確認できなかった。今回確認された生存期間はこれまでに報告された中で最長であり、森林の管理方法に重要な示唆を与えるものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
菌根菌は樹木の成長に不可欠な共生微生物であり、その感染源となる土壌中の胞子の生存期間を明らかにすることは森林管理や希少樹木保全において重要である。本研究では、これまでで最長となる16年間の埋土胞子生存期間が確認されたものの、数十年以上にわたって感染性を維持することは困難であることも示された。一部の絶滅危惧樹に不可欠な菌根菌は埋土胞子として主に存在していることから、それを有効活用するためには時間的な猶予がないことを示唆するなど、森林の管理手法に重要な提言をもたらす可能性のある成果である。
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