研究課題/領域番号 |
20K21340
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
萩原 篤志 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 特定教授 (50208419)
|
研究分担者 |
金 禧珍 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (10823437)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | ワムシ類 / 休眠 / 耐久卵 / カイアシ類 / 保存 / 遺伝子解析 / 海産ワムシ類 / 両性生殖誘導 / 仔魚飼育 |
研究開始時の研究の概要 |
仔魚期の海水魚を飼育するには、シオミズツボワムシ(ワムシと略)等の動物プランクトンの給餌が必要である。ワムシは単性生殖によって増殖するが、環境や遺伝的条件が整うと、減数分裂を伴う両性生殖によって耐久卵(受精卵)を形成する。これは悪環境下で耐性を示すので有効な保存手段となる。我々は、実験室で選抜したワムシ株を用い、100億単位の耐久卵量産と商品化を実現した。一方、種苗生産施設で用いられるワムシは、環境耐性、大きさ、増殖率などの点で優れた性状を示すものの、単性生殖のみがみられることから、耐久卵形成機能を失ったと理解されている。本研究ではこの定説を覆し、あらゆるワムシに耐久卵を作らせることに挑む。
|
研究成果の概要 |
水産種苗生産の初期餌料に用いられるワムシは、乾燥や凍結下で長期間休眠する耐久卵を形成する。これはワムシの簡便な保存手段として活用できるが、生産現場で用いられているワムシ株の多くは耐久卵を作らない。本研究では「どんなワムシ株であっても耐久卵を形成させることができる」という仮説を立て、これを検証した。その結果、環境操作によって耐久卵を効率的に得ることが可能であることが分かった。一部のワムシ株は耐久卵形成の第一ステージである両性生殖の関連遺伝子を発現しなかったが、抗酸化ストレス耐性が他株より10倍以上高く、悪環境を回避する耐久卵を形成しない代わりに、強い環境耐性を備えていることが明らかになった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
耐久卵は、凍結や乾燥下で長期間休眠状態を維持するので、水産養殖分野では、仔魚飼育のオフシーズンにワムシの簡便な保存手段として活用できる。一方、種苗生産の現場で餌料生物として培養されている優良形質を備えたワムシの多くは耐久卵を作らないことが多く、長年の懸案となってきた。本研究を通じて、耐久卵形成能を備えたワムシ株に対し、より効率的に耐久卵を得る方法が新たに示されると共に、低温処理後の昇温で耐久卵を確保可能なワムシ株が存在することを見出した。環境操作によっても耐久卵を作らない一部の有用株は、抗酸化ストレス耐性がきわめて高いことが分かり、成体や卵の形で長期保存できる可能性が新たに示唆された。
|