研究課題/領域番号 |
20K21367
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
高島 康弘 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20333552)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 肝蛭 / 遺伝子組換え / 孵化 / 培養 / 組換え / 吸虫 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの寄生虫卵(吸虫、条虫、線虫)は、宿主体外に排出された環境中で長期間孵化しないまま生存した後、適切な宿主に感染が成立する環境が整うと孵化する。例えば感染動物の糞便中に排出された回虫卵や鞭虫卵は土壌中や水中で孵化しないまま長期間にわたって生存するが、これを人や動物が摂取すると腸内で直ちに孵化する。しかしこの現象はあまりにも当たり前のことと考えられたのか、寄生虫卵の孵化のタイミングを決めるメカニズムはほとんど研究されてこなかった。そこで本研究では、肝蛭を用いて世界で初めての遺伝子ノックアウト吸虫の作成に挑戦する。さらに確立した手法を用いて肝蛭卵の孵化のタイミングを司る遺伝子を同定する。
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研究成果の概要 |
肝蛭卵は浸透圧刺激により成長抑制、孵化抑制を受けることが明らかになった。マウス、ヒトにおいて浸透圧を感知する分子が知られているが、この分子をコードする遺伝子と相同性の高い推定遺伝子領域が肝蛭ゲノム中にも存在することが分かった。当該遺伝子産物が孵化のタイミングを決定しているか否か明らかにするため、当該遺伝子のノックアウトを目指して技術開発を実施した。最終的には組換え体作出までに至らなかったものの、遺伝子導入に最適なスポロシスト期の幼虫を培養条件下で大量に誘導すること、培養下のスポロシストを中間宿主貝に戻してメタセルカリアを得ることに成功した。また肝蛭用外来遺伝子発現プラスミドベクターを構築した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肝蛭をはじめとする吸虫は家畜やヒトの健康被害の原因となる。しかし遺伝子改変技術が確立されておらず、吸虫のさまざまな生命現象を司る責任遺伝子の確認が実験生物学的レベルで実施できないのが現状である。本研究では肝蛭の遺伝子組換えにむけた基盤技術を確立した。また宿主糞便中に排出された肝蛭卵は中間宿主貝の生息する淡水中で孵化する一方、糞便中では孵化しないが、これがなぜ起こるのかは不明であった。本研究により浸透圧が孵化を抑制することが明らかとなり、糞と淡水の浸透圧の差を虫卵が認識している可能性が示された。
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