研究課題/領域番号 |
20K21440
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高木 昌興 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70311917)
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研究分担者 |
安藤 温子 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (70761063)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 亜種ダイトウコノハズク / 北大東島 / 絶滅 / 再導入 / 南大東島 / 減少傾向のメス / 環境収容力 / 近交弱勢 / 島嶼個体群 / 個体群動態 / 繁殖成功 / モニタリング / 行動圏 / GPSデータロガー |
研究開始時の研究の概要 |
南大東島のダイトウコノハズク個体群の中から遺伝的距離が近いものから遠いものまで雌雄同数(10-20個体)を選抜し、本種がかつて生息していた北大東島への再導入を目標とする。再導入までの過程で南大東島における本亜種の行動様式を解明する。動物の再導入は、絶滅危惧種の保護のみならず、進化生態学などの学術領域において重要な情報をもたらす。遺伝的素性が判明したすべての個体を確実に把握できる可能性があるのが本再導入個体群である。本亜種は、行動圏が狭く、巣箱で繁殖し、捕獲が容易で人的撹乱への耐性が高い。個体の行動の完全な把握は、多面的な科学研究の可能性を担保し、得られる成果は小個体群の保全策の策定に寄与する。
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研究成果の概要 |
沖縄県北大東島に南大東島から亜種ダイトウコノハズクを再導入するために必要な生態学的情報を多角的に収集した。再導入個体群の繁殖状況を評価するのに役立つ情報として、南大東島での繁殖成績をモニタリングした。モニタリングした巣において繁殖する個体の形態・遺伝形質、出生地分散先が明らかになった。異なる遺伝的形質を持った雌雄、体の大きさが似る雌雄がつがいを形成した。出生地分散先が特定できたメスの配偶相手のオスとメスの父親の鳴き声は似ていないことがわかった。樹林地、畑、並木、民家など様々な環境を利用する個体がおり、行動圏面積には大きな個体差があった。森林性ではあるが生息環境には融通性があることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大きな陸地から遠く離れて位置する小面積の海洋島に生息する生物は常に絶滅の危機にさらされている。沖縄県島尻郡の北大東島と南大東島に生息する生物はそのような状況にある。亜種ダイトウコノハズクの2つの個体群のうち北大東島個体群は絶滅した。人為的な環境改変が絶滅を加速させたと推察される。絶滅に人為が関与したことから残された個体群は保全されることが望ましい。複数の個体群に分かれて生息していれば亜種としての絶滅は回避できる可能性が高まる。リスク回避が北大東島への再導入の保全学的動機である。本研究の成果は絶滅リスクの低下と再導入個体群を適切に管理するために必要な生態学的情報を得ることができたことである。
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