研究課題/領域番号 |
20K21442
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中田 敏是 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80793190)
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研究分担者 |
小島 渉 山口大学, 大学院創成科学研究科, 講師 (70750462)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 昆虫 / 飛行 / 空気力学 / 進化メカニズム / 効率 / 安定性 / 甲虫 / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫の飛行形態は種によって大きく異なるが、その多様化メカニズムは不明である。昆虫の飛翔に関する性能(効率、機動性など)の間にはトレードオフが存在するため、昆虫の飛行形態の多様性は、その種の生態に合わせた性能の優先順位の違いに起因する妥協の結果であると考えられる。本研究計画では、この「トレードオフ仮説」の検証による昆虫の多様な飛行形態の進化メカニズムの解明を最終目的として、飛行形態が多様なコガネムシ科をモデルとし、その前翅の開閉などの飛行形態の多様化メカニズムを明らかにする。そのために、様々な甲虫の飛行性能を包括的に評価し、飛行性能のトレードオフが甲虫のの飛び方に与える影響を調べる。
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研究成果の概要 |
本研究では、昆虫の飛行形態における「トレードオフ仮説」の検証を通して、昆虫飛翔の多様化メカニズムの解明を目指した。このために、飛行中の鞘翅の状態(開閉)が異なる甲虫の飛行軌跡や翅運動を3次元再構築し、数値計算によって効率、安定性・機動性、鞘翅の硬さなどの観点から、その飛行性能を評価した。その結果、その生態、飛行効率、飛行安定性・機動性のトレードオフの妥協の結果として、甲虫の飛行形態が多様化した可能性があることが明らかとなった。また、新たに構築した昆虫誘導型飛行アリーナ・筋骨格系シミュレータによって、より包括的かつ対象種を広げた性能評価が可能となることが期待できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、昆虫の飛行形態の多様化メカニズムの理解・解明に、本研究のような、工学的な定量的評価と、生態学・生理学的な適応性評価の両方を用いた包括的な評価の重要性を強く示しており、この点に大きな学術的意義がある。この挑戦的な取り組みから、性能評価におけるボトルネックも明らかとなり、その対策として開発された昆虫誘導型飛行アリーナによって、さらに昆虫飛翔の多様性への理解の深化が期待できる。現在、ドローンの高性能化のために、昆虫を規範とした飛行ロボットの開発も行われているが、本研究の手法・成果は、昆虫の飛行形態の設計原理の解明と共に、ドローンの新しい設計指針の創出にも繋がることが期待できる。
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