研究課題/領域番号 |
20K21517
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久保 健雄 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10201469)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | アフリカツメガエル / 器官再生 / 再生 / FGF10 / インターロイキン11 / IL11受容体 / 未分化増殖細胞 / 器官再生能 / 増殖細胞 / 成体 |
研究開始時の研究の概要 |
アフリカツメガエル幼生は高い器官再生能をもつが、成体は四肢再生能をもたない。応募者は幼生尾再生芽の増殖細胞から、尾再生に必須であり、様々な組織の未分化細胞の誘導に働く因子(インターロイキン11)を同定した。ではなぜ、カエル成体は四肢再生能をもたないのか?本研究では、カエル成体切断肢の増殖細胞のトランスクリプトームを解析し、それを幼生尾増殖細胞と比較する。次いで、幼生尾再生芽の増殖細胞に比べて発現低下している遺伝子を、成体の切断肢に強制発現させることで、肢芽様構造を誘導できるか検討する。本研究は基礎生物学ばかりでなく、将来的には再生医学にも新しい視点を与える可能性がある挑戦的研究である。
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研究実績の概要 |
アフリカツメガエル幼生は発生初期には高い後肢芽の再生能をもち、肢芽切断後、完全な後肢を再生する。しかし、発生の進行に伴い再生能は失われ、発生後期では肢芽切断後、再生指の数が減ったり、指や関節のない軟骨性のスパイクしか形成されない。これまでに、発生後期の切断後肢芽に線維芽細胞増殖因子10(FGF10)を投与すると再生能が改善することが報告されている。今年度は、発生の進行に伴い後肢芽の再生能が低下する原因を探るため、発生後期の切断肢芽にFGF10を投与し、FGF投与群と無処理群の後肢芽の単一細胞RNAシーケンス(scRNA-seq)を行い、遺伝子発現プロファイルが異なる細胞クラスターを探索した。昨年度までにFGF10投与は、既報の再生芽上皮(Apical epidermal cap; AEC)に加えて、特定の白血球分画や、線維芽細胞様細胞分画の発現遺伝子プロファイルに顕著な影響を与えることを見出している。今年度は、FGF10投与群の後肢芽は無処理群に比べ、より近位(proximal)な部位に対応する遺伝子発現プロファイルを示すこと、増殖状態にある筋衛星細胞の頻度が増加していることを見出し、これらの細胞の遺伝子発現プロファイルの変化が再生能改善に寄与することを示唆した〔Yanagi, Kato et al., Dev. Growth Differ. (2022)〕。さらに、ツメガエル幼生尾の組織幹細胞の性質を調べる目的で、哺乳類の組織幹細胞濃縮法〔Side population(SP)法〕をツメガエル幼生尾の再生芽に適用し、組織幹細胞の濃縮に利用できることを示した〔Kato et al., Dev. Growth Differ. (2022)〕。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
scRNA-seqは「先進ゲノム支援(PAGS)」によるご支援をいただいて実施した。昨年度までに、FGF10投与時の肢芽再生能向上に関わる細胞種を同定するため、FGF10投与により遺伝子発現プロファイルが大きく影響を受ける細胞種をscRNA-seqにより探索し、AECや軟骨芽細胞、白血球の一部分画、線維芽細胞様細胞を同定していた。今年度はさらに解析を進め、FGF10処理群の後肢再生芽において四肢発生時の近位マーカーshort stature homeobox 2(Sox2).Lの発現が亢進すること、細胞周期関連遺伝子の解析により、FGF10処理群の筋衛星細胞においてFGF10処理群でS/G2/M期にある細胞の頻度が増加していることを見出し、これらの細胞の遺伝子発現プロファイル変化が、FGF10処理による再生能向上に関係する可能性を示唆した〔Yanagi, Kato et al., Dev. Growth Differ. (2022)〕。一方、SP法は組織幹細胞の薬剤排出能が低いことに基づく幹細胞濃縮法であり、薬剤排出を担うABCトランスポーターの阻害剤であるverapamilを投与した際に排出能の低下する細胞集団をSP分画として分取する。昨年度までに、ツメガエル幼生尾再生芽にSP法を適応し、核酸染色試薬による染色性が低下する2種類のSP分画(SP1とSP2)を検出していた。今年度は、SP1とSP2分画のRNAシーケンス解析により、両者とも筋衛星細胞マーカーpax7発現細胞を含むこと、一方でSP1は赤血球を多く含むことを見出した。幹細胞の濃縮分画としてはSP2分画がより有用と考えられる〔Kato et al., Dev. Growth Differ. (2022)〕。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が本研究課題の最終年度であり、これまでに関連する研究成果を2報の学術論文として出版している。一方、本研究課題に関連する研究課題としては、この他に、ツメガエル幼生尾再生に必須な役割を担い、特定の白血球分画に発現する新規遺伝子regeneration factors expressed in myeloid (rfem)を同定しており、今年度はrfem発現白血球が尾再生に必須であり、rfemはこの白血球の尾再生促進に必要であることを示した。以上の研究成果は現在Development誌に論文投稿し、リバイス中(Deguchi et al.)となっている。来年度はこのリバイス実験を実施する予定である。
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