研究課題
挑戦的研究(萌芽)
in vitro実験:マウスの骨髄から造血幹細胞を、そして肝臓の血管からは血管内皮幹細胞を採取してトロンボモジュリン(TM)あるいはコントロール溶媒の存在下で培養して、TMがこれらの幹細胞の増殖を増強するのか検証する。in vivo実験:C57BLマウスに放射線照射を行い骨髄造血障害と血管内皮細胞障害を誘導する。このマウスに緑色に発色するマウス血管内皮幹細胞と赤色に光る造血幹細胞を移植した後にTMあるいはコントロール溶媒を投与する。TMにより血管や骨髄造血の回復が促進することを確認する。
血管内皮細胞上に発現する、複数のドメインから構成される膜タンパク、トロンボモジュリン(TM)はトロンビンと結合してプロテインCを活性化プロテインC(APC)に変換して抗凝固作用を発揮する。培養血管内皮細胞を用いた実験で、TMは放射線によるDNA傷害マーカーであるγH2AXのリン酸化を抑制した。我々はトロンビンと結合しないTM変異体TM G412Dを作製した。TM G412Gは培養血管内皮細胞の増殖と血管新生作用を増強した。TM G412Dは急性放射線症候群の治療薬として有望かもしれない。
東京電力福島第一原子力発電所では今後廃炉作業が進められる。起きてはならないことではあるが、その発生リスクがゼロではない被ばく事故に備えた対策の確立が望まれる。特に1グレイ以上の線量を被ばくした際に生じる骨髄不全や消化管障害などからなる急性放射線症候群に対する治療法の確立は急務である。本研究により、放射線によるDNA損傷をTMが緩和する可能性や、放射線傷害の結果生じるフリーラジカルによる肺障害をTMが緩和する可能性が示された。TMは抗凝固薬であるため、被ばく患者に使用すると出血を助長することが危惧される。我々が合成したTM G412Dは凝固系に作用しないため安全に使用可能である。
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