研究課題/領域番号 |
20K21600
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分53:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
尾野 亘 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00359275)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | ATP / 心不全 / 心筋梗塞 |
研究開始時の研究の概要 |
現在の心筋梗塞の治療には、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が行われるが、PCI後の再灌流障害や心筋細胞死を標的とした治療法は皆無である。VCP (valosin-containing protein)は、細胞内の主要なATPaseであり、VCPのATPaseの阻害剤(KUS121)は、細胞内のATP減少と細胞死を抑制する作用がある。KUS薬はブタ心筋梗塞モデルにおいて、梗塞巣を63%低下させた。本研究においては、さらに心不全に対する治療効果およびその作用機序を検討する。また、予備的検討からは心肥大の抑制効果も認めているため、左室駆出率の保たれた心不全の治療にもつながる可能性がある。
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研究成果の概要 |
心不全では、心筋細胞内のATPレベルが低下する。KUS121は、バロシン含有タンパク質(VCP)のATPase阻害剤であり、細胞のATPレベルを増加させ、細胞保護作用を有する。 マウス心不全モデルにKUS121を投与したところ、PCr/ATP比と左室駆出率が急速に改善された。イヌの心不全モデルでも、KUS121の投与により左心室収縮力が改善し、拡張末期圧が減少した。培養心筋細胞では、KUS121はピークCa2+レベルや収縮時間を変えずに収縮力と拡張能を改善した。 KUS121は従来のカテコールアミンとは異なるメカニズムで心不全を改善し、心不全治療の新しい選択肢となる可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、わが国の疾患別死因の中で、心疾患は15.2%を占め、悪性新生物に続いて第2番目となっている。心不全患者は、急性心不全を繰り返してやがて死に至る。その原因としては、急性心不全治療に用いられる薬剤が十分でないことが理由として挙げられる。具体的には、破綻した血行動態を急激に改善させるために、カテコラミンやPDE阻害薬といった強心薬を用いるために、かえって心臓の線維化や慢性期の心機能を悪化させているのが現状である。これまでの検討より、KUS121が急性心不全治療の治療法を根本的に変え、心不全患者の予後を劇的に改善する理想的な薬剤となる可能性がある。
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