研究課題/領域番号 |
20K21636
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
池田 和博 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30343461)
|
研究分担者 |
井上 聡 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (40251251)
佐伯 俊昭 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50201512)
|
研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | がん / 患者由来がん培養系 / ミトコンドリア / 代謝 / 乳がん / 子宮がん / 三次元培養 / 呼吸鎖 / 治療薬 |
研究開始時の研究の概要 |
乳がん、子宮体がんの女性がんは年々増加している。最近、がんにおける特徴的な代謝変化が創薬標的として期待されているが、未解明の部分が多い。我々はミトコンドリア呼吸鎖超複合体の形成促進因子COX7RPを世界に先駆けて発見し、ミトコンドリア代謝における超複合体の重要性を提唱した経験から、未知のミトコンドリア超複合体の形成制御因子の存在を予想し、本研究で明らかにする着想を得た。最近開発し、至適化したがん臨床検体の三次元スフェロイド培養法により、乳がん、子宮体がんのがん細胞を樹立し、ミトコンドリア超複合体構成因子を解析する。その中から、がん種・組織型などの特徴を反映する候補因子を探索し、検証する。
|
研究成果の概要 |
複数のがん種において臨床がん組織を3次元スフェロイド培養することにより、長期培養可能な患者由来がん細胞(patient-derived cancer cell, PDC)の樹立を行った。腎がんPDCにおいてジペプチジルペプチダーゼ4 (DPP4)が高発現し、増殖を促進することを示した。また、卵巣がんにおいてSPON1-TRIM29融合遺伝子を同定し、細胞増殖や治療薬抵抗性に関与することを明らかにした。興味深いことに、DPP4阻害薬やTRIM29はミトコンドリア呼吸活性の制御に関連することが示唆されており、がんの標的標的候補となることが示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腎がんPDCを用いた解析によって、DPP4ががん幹細胞性にもとづくチロシンキナーゼ阻害剤抵抗性に寄与している可能性が示唆され、がん患者由来培養系を用いた精密医療への展開が期待される。また、糖尿病治療薬として用いられているDPP4阻害薬を用いた腎がん治療は、ドラッグリポジショニングとして有望な戦略であると考えられる。卵巣がんにおいて、TRIM29はがん幹細胞性やシスプラチン耐性と関連することが示されており融合遺伝子としての新しい作用機序の可能性を示した。これらの新しい知見は、がんの進展、治療薬抵抗性に関わるミトコンドリア代謝制御との関連する可能性が考えられ、診断・治療への応用が期待される。
|