研究課題/領域番号 |
20K21654
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
島田 昌一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20216063)
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研究分担者 |
中村 雪子 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師 (90548083)
近藤 誠 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (50633012)
小山 佳久 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40397667)
臼井 紀好 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00784076)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / 条件付け / 大脳辺縁系 / オピオイド / 情動 |
研究開始時の研究の概要 |
繰り返す痛みの経験が条件づけとなり悪化する慢性疼痛がある。この様な疼痛では、元々の疼痛の原因である組織損傷や炎症が治った後でも、痛みが継続し、改善しない場合がある。痛みに関するこの様な条件づけが脳内で形成されると、それが慢性疼痛などの長期にわたる難治性疼痛の原因の1つになると考えられ、その適切な治療法も見つかっていない。我々はこの現象に着目し、痛みの原因が除去された後でも条件づけによって痛みが継続するモデルマウスの開発に成功した。本研究では、条件づけによって増強する疼痛に関わる神経回路とそのメカニズムを明らかにすると共に、条件づけによって生じる難治性の痛みの治療薬を新しく開発することにある。
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研究成果の概要 |
組織の損傷が治った後も継続する慢性疼痛のメカニズムを解析するために、条件付けによる疼痛誘発のマウスモデルを確立した。この条件付けにより誘発する痛み反応はフェンタニルによって減少したが、イブプロフェン、プレガバリン、フルボキサミンによっては減少しなかったことから、慢性疼痛に効果のある鎮痛薬の薬理学的特徴に類似していた。この条件付け疼痛に関与する神経をc-fos発現を指標に検討し、末梢神経や脊髄後角は関与せず、むしろ大脳辺縁系と繋がりの深い脳内の数箇所の領域が関与していることを見出した。また、各種化合物を検討し、この条件付けによる疼痛に対してオピオイドと同等の鎮痛効果を示す化合物を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
慢性疼痛は難治性の疾患で、唯一オピオイドのフェンタニルが高い治療効果を示す。特に米国では慢性疼痛の治療目的で、鎮痛薬として処方されたオピオイドがきっかけとなり薬物依存者が急増し、乱用による過剰摂取が原因となる死亡者数が年間の交通事故死亡者数5万人を大幅に超え、大きな社会的問題となっている。本研究では、オピオイドに替わる依存性のない慢性疼痛治療薬の開発を目指す。
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