研究課題/領域番号 |
20K21669
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
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研究分担者 |
小川 徹 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (50372321)
洪 光 東北大学, 歯学研究科, 教授 (70363083)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | セルロースナノファイバー / 生体材料 / 生体安全性 / 義歯床用材料 / セルロース・ナノ・ファイバー / バイオマス / 環境 |
研究開始時の研究の概要 |
ステント,義歯等に用いる生体材料にはアクリルレジン等が用いられているが,吸水,乾燥や繰り返し荷重,バイオデグラデーションによる機械的性質の低下等の課題を有する.またレジン系材料はほぼ全て石油由来であり,アレルギー反応等の生体為害性の懸念事項もある.一方、木材チップから抽出されるセルロースナノファイバー(CNF)は高強度、高い生体安全性、低環境負荷な次世代のバイオマス素材として期待されている。本研究では、CNFの疎水化とその加圧脱水成形によるCNFバルク製作,超臨界下での再溶解・再析出を用いたCNF100%材の開発を試みる.医用材料のみならず石油製品に代わる環境負荷の少ない次世代材料となりうる.
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研究成果の概要 |
本研究では,セルロースナノファイバー(CNF)の歯科材料への応用に関する基礎的検討を行った.CNFの疎水化,加圧条件およびCNFそのものの生体安全性に関する検討を行った. ①加圧の増加により機械的強度の向上が認められた.②化学的に疎水化処理したCNFは,表面のぬれ性は改善したものの,アクリルレジンと比べ高い吸水膨張を示した.③赤外吸収スペクタクル表より表面の親水性の官能基が疎水性のものへ置換されたことが示唆された.④細胞毒性試験より,CNFの細胞生存率はISO基準値の70%を満たさなかった.⑤感作性試験より,CNFは炎症反応を認めず遅延型アレルギー反応の一つである感作性がないことが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
歯科臨床においてレジン系材料は様々な用途で用いられているが、その原料は石油であるため、未反応成分や添加成分等の残留・溶解によるアレルギー反応など材料そのものに由来する生体為害性が指摘されてきた。また、医療現場ではディスポーザブルの医療用プラスチック用品等の石油由来材料も日常的に用いられており、環境問題や資源枯渇問題などへの対応は重要な課題である。一方、近年注目されているセルロースナノファイバー(CNF)は軽量、高強度、化学的に親水性にも疎水性にもなりえる多様な性質を持ち、セルロースの原料で、環境負荷の少ない資源である。また、高い生体安全性を有し、医療材料・生体材料としての応用が期待されている。
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