研究課題/領域番号 |
20K21803
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本吉 勇 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60447034)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 視覚 / 情動 / 感性 / 快不快 / 知覚 / 嗜好 / 不快感 / 画像統計量 / 脳 |
研究開始時の研究の概要 |
私たちは,画像から外界の物体やその様相を認識するだけでなく,そこに心地よい・気持ち悪いなどの価値を見出します.この快不快の反応は,画像のもつ特徴そのものにより引き起こされることがあります.本研究では,この画像特徴に基づく情動的価値の計算機構を,画像特徴・心理データ・脳波の関係性から解明するとともに,芸術等における「不快だが魅力的」といった両価的な感情を支えるメカニズムにも迫ります.
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研究成果の概要 |
本研究は,自然画像に対する心地よい・気持ち悪いなどの情動的反応が画像に含まれる特定の特徴量に対する素早い神経応答に依存する可能性を心理実験と脳波解析により検討した.その結果,情動的反応は少数のクラスの特定の画像統計量に強く依存し,かつそれらの画像統計量に対する短潜時の脳波電位が主観的な情動反応と高く相関することを明らかにするとともに,不快さをもたらす画像統計量は自然環境の統計的規則性から逸脱するものであることを発見した.これらの成果の応用として,画像特徴量により画像のテクスチャ性の判別,絵画様式の判別,脳波からの画像復元,などが可能であることも見出した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
視覚的な美醜を扱った過去の研究は,恣意的に作られた幾何学図形の恣意的な変数の効果を検討したものが多い.本研究で得られた成果は,現実世界の自然画像に含まれる美醜に関連する特徴を心理・生理データから逆導出する点で高い生態学的妥当性をもっており,感覚刺激による情動喚起の基礎研究のみならず嗜好やデザインの研究の方向性に影響を与えると期待される.また,本研究が示唆した情動的価値の直接計算の過程は,知覚→認知→価値判断というナイーブな理解の図式を打破し,視覚情報処理が本質的に課題特異的であることも明らかにしている.
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