研究課題/領域番号 |
20K21804
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡ノ谷 一夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30211121)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 意識の流れ / 注意 / リズム / 視線 / 脳波 / 音楽 / コロナ禍 / 非対面実験 / 多義刺激 / 多声音楽 / 視線計測 / リズム知覚 / オンライン実験 / 意識の並列直列モデル / 拍子 / 音楽認知 / 脳相関 / 眼球運動 |
研究開始時の研究の概要 |
心理学者ジェームスによって提唱された「意識の流れ」は、意識の動的な性質に着目した概念である。並列に流れる原意識の一部が直列な意識体験に変換されるモデルは多くの研究者により提唱されているが、その実証はなされていない。本研究では、流れが本質である音楽を対象としてこの難問に挑む。具体的には、多義音列や多声音楽を利用して、意識の流れと切り替えに随伴する生理指標・脳指標を検出することを本研究の目的とする。内省、視線の動き、脳波等のデータを統合し、意識の流れを客観的に捉えることをめざす。同時に、意識研究に音楽という素材が有効であることを示しこの分野の魁となる。
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研究成果の概要 |
意識の流れを実験的に検出するための研究を行った。まず時間長と周波数帯域を多重変数として一方に注意すると3拍子、他方に注意すると4拍子になる刺激を作成した。被験者を十分訓練し、任意の属性に注意させることで同じ刺激を異なる拍子として知覚できるようになり、また、拍子が切り替わる際に特徴的な陰性電位が検出できた。次に楽譜を見てメロディーを聴くときの眼球運動を手がかりとして、メロディーの階層性知覚を計測する方法を確立し、音楽構造の破壊と知覚の階層性との対応を記述できた。最後にコロナ禍の中で実行可能な研究としてオンラインによるリズム知覚の実験を行い、音色の変化で弁別力が低下する現象を発見した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的な意義としては、意識の流れの現象学的記述を客観的に計測する方法を、音楽という流れが本質である刺激を材料として開発することができた。これらの方法をさらに発展させることで、現象学的意識の神経相関についての知見を集積することができる。社会的な意義としては、今回のコロナ禍のように対面実験が限定される場合でも、情報技術の活用によりオンラインによる研究を進展させることが可能であることを示した。オンライン実験を成功させるためには、被験者の関心度・参加意欲・注意度を計測できるよなプローブ施行を適宜挿入することが重要であることがわかった。
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