研究課題/領域番号 |
20K21875
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石川 拓司 東北大学, 医工学研究科, 教授 (20313728)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 腸内フローラ / シミュレーション / 可視化実験 / 大腸菌 |
研究開始時の研究の概要 |
「数理モデル」は、腸内フローラのような複雑系の骨格を理解し、定量的に記述するのに最良のツールである。本研究では、「輸送現象論」を基盤とし、常在菌と耐性菌に対する抗菌薬の薬効評価を目指した腸内フローラの数理モデルを開発することを目標とする。研究対象をゼブラフィッシュと線虫とし、数理と実験を丹念に融合させることで、予測精度の高い革新的な数理モデルを構築する。
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研究実績の概要 |
本年度の実験研究では、主な研究対象をゼブラフィッシュと線虫とし、腸内流動と腸内細菌挙動、物質吸収を可視化計測した。本年度の主な研究実績は、以下の通りである。 1.線虫の腸内流動と腸壁への物質吸収を可視化計測した。その結果、腸内流動によって腸壁への物質輸送が促進されることが明らかとなり、促進量はペクレ数の2乗に比例することが分かった。この成果は、総合誌で定評のあるScientific Reports誌に掲載された(Suzuki, et al., Sci. Rep., 2022)。 2.体の隙間のような狭い空間においては、細菌の挙動が通常と大きく異なり、隙間から逃げるような行動が観察された。この研究成果の意義を議論した論文が、生物物理学分野で定評のあるBiophysical Journal誌に掲載された(Ishikawa., Biophys. J., 2022)。 3.大腸菌などの微生物が高い数密度で凝集した際の物質輸送を数値シミュレーションによって調べた。その結果、密集することで細胞周りに強い流れが作り出され、物質輸送が促進されることが明らかとなった。この成果は、2編の国際会議論文(9thWCBとPSFVIP13)として発表された。 4.ゼブラフィッシュの腸内における蛍光大腸菌のライブイメージングに成功した。この成果は、腸内フローラの解明につながる画期的な成果であり、2編の国際会議論文(9thWCBとPSFVIP13)として発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ゼブラフィッシュと線虫の実験研究、および高密度微生物懸濁液の数値シミュレーションに成功し、研究成果が着々と出ている状況である。既に査読付き英語論文を7編発表しており、当初の計画以上に研究成果が上がっているため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き研究を推進し、ゼブラフィッシュと線虫を用いた実験とシミュレーションを実施する。ゼブラフィッシュ腸内の細菌挙動を高時間・空間解像度で計測したところ、腸壁の窪みに細菌が集まる様子が観察された。この現象の定量化と、メカニズムの解明を行っていく。また、研究成果を論文として公表する作業にも注力する。
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